長野県岡谷市でシルクサミット開幕 技術継承、文化創造へ可能性探る
蚕糸技術を継承し、シルク文化の発展と創造を目指す「シルクサミット2024in糸都(しと)岡谷」が16日、長野県岡谷市のカノラホールなどで2日間の日程で開幕した。市内での開催は10年ぶりで、全国各地で養蚕や製糸、染色などに関わる約240人が参加。「由緒あるシルクの歴史を未来へ」をテーマに、講演や活動事例の発表を通してシルクの可能性を探った。 今年で25回目のサミットは、岡谷蚕糸博物館の開館60周年・リニューアルオープン10周年に合わせて企画。基調講演では、髙林千幸館長が「なぜ岡谷は世界一の生糸生産地になったのか」と題して話した。「諏訪式操糸機(そうしき)」など革新的な技術の開発、優れた経営者、工女の活躍などを挙げ、「製糸業発展のインパクトが我が国の近代化に及ぼした影響は計り知れない。未来への大きな指針になる」と説いた。 学習発表では、同市上の原小学校4年1組の児童約20人が登壇し、蚕の飼育や生態について紹介。クイズや寸劇を通して、いただく命の尊さ、繭を使ったものづくりなどの学びを披露した。合唱曲「U&I」の替え歌もあり、蚕への思いや感謝を込めてハーモニーを届けた。 2日目は、市内の製糸業の歴史を伝える「近代化産業遺産」の見学会を開く。 サミットは、農業・食品産業技術総合研究機構、大日本蚕糸会、かつて製糸業で栄えた同市などが主催。新たな蚕糸文化を創造するため、情報交換、技術交流を目的に、全国のシルクの産地を巡回して年1回開催している。