毎晩が立食パーティ、酒屋立ち飲みの楽しみ方/大阪
「初めの一歩」を踏み出せば大丈夫
高校時代、同店でアルバイトしていた常連。その常連が店番をしていたころから30年も通う超常連がいる半面、毎年春になると、ニューフェイスがちらほら顔を出す。不安そうな表情を見せるものの、吾妻さんは「初めの一歩」さえ踏み出せば大丈夫と、背中を押します。 「カウンターに並ぶつまみを、遠くから肩越しにながめる新顔さんを見かけたら、常連さんが『きょうはこれがうまい』『缶詰もあるが、皿に開けてもらえるで』などと、私に代わって説明してくれます。常連さんもかつては新顔でしたから、お互いさまです」 気がつけば、新旧入り乱れて酒をくみ交わす立食パーティ状態。ビールは個々人が冷蔵庫から取り出し、本数は自己申告制。特注の立ち飲み専用テーブルを組み合わせると、人数に応じて大小の宴会場がセットできます。それでも足りなければ、事務用デスクもカウンターに早変わり。しかも、ひとり1200円もあれば、ええ気分になれます。融通無碍(ゆうずうむげ)、伸縮変幻自在こそ、大阪酒屋立ち飲みのダイゴ味です。ほんの少しだけ勇気を出して、気になる店をのぞいてみませんか。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)