「芸能界という場所で自分を変えたい」 MEGUMIが葛藤しながら見つけた “心に効く”自分への処方箋
他者に優しい“ババア”になるのが理想(笑)
――CREAの読者は30代前後の女性が多いのですが、その時期は人生のうえで最も混沌としている世代だと思います。MEGUMIさんからその世代の女性に掛けたい言葉はありますか? 私も30代は一番悩んでいた時期でした。大御所でもなければ、核でもない、何とも言えない“空白”のような時間に感じていましたし、自分はどうなっていくだろうと漠然した不安もあり、「今までどおり生きていたらダメだよね」と思っていました。 いきなり、“若くて可愛い20代”じゃなくなっちゃった感じ(笑)。ファッションもメイクも大人っぽさが求められるし、自分が何をするかも考えないといけない。結婚するのかしないのか、とかも……。いきなりよく分からないまま選択を迫られているようで、もがいていましたね。 ただ、もがけばもがくほど、40代に入ってからすごく晴れやかな気持ちで「自分はこういう人間だ」と言える気がします。何をやっているのが楽しいか、というのも分かってくる。大変な時期だと思いますが、大変なほうがいい。30代はたくさん吸収して、ひとりでも多くの人に会い、「いいな」「違うかも」というトライアンドエラーを繰り返すことで、自分というものがどんどん濃くなり、輪郭が際立ってくるんです。 30代は、そういうシーズンだから。そういうものなんだと腹をくくって、楽しもう! と思っていただければいいんじゃないかと思います。
自分の悩みへの処方箋を持っていれば、日々楽しく、前向きに過ごせる
――MEGUMIさんは今、40代ですが、次の50代、60代に向けて、こうありたいと考えていらっしゃることを教えてください。 一番は「他者に優しくいたい」ということです。 自分の“核”みたいなものがどんどんできてくるので、それに反しているものは「違う」と思いがちですが、40代になってあらゆる経験を重ねてきているので、少しずつ「みんな色々あるんだ」と思えるようになってきている。もちろん、相手のバックボーンが手に取るように分かるわけではありませんが、それを分からないままでただ「ノー」というのは違うんじゃないかなって。 ムカつくことはムカついて当然だと思いますし、そこまで全部抑える必要はありませんが、あまり自分の意見を押し付けないようにしたく、他者に優しい“ババア”になるのが理想ですね(笑)。 ――MEGUMIさんの気風の良さや、伝えたいことをはっきり伝えるという姿勢に感銘を受けました。自分の意見をちゃんと誰かに伝えるというのは、なかなか難しいと思うので、ぜひアドバイスを! 私たちはインタビューをたくさん受ける機会があります。そこで頭の中が整理整頓されてスッキリしたり、「あ、私ってこういうことを考えているだな」と分かったりします。でも普通はインタビューを受けることなんてないでしょうし、自分の中にモヤモヤとあるものや、ツラさが身体から抜けていかないときってありますよね。 そういうときは、臨床心理士の方などに話してみることをおすすめします。彼らは答えを出すわけじゃなくて、「どうしてそう思ったの?」という感じでインタビューをしてくるんです。それに答えていくうちに、「自分にはこういう考え方があり、こういうことが嫌で、こういうふうに伝えたい」みたいなモノが出てくるんですよね。 こういう思考は“慣れ”でもありますし、トレーニングが必要なので、ネットなどで探してみて、プロの方とぜひ話してみて。心の中にある“毒”をゴミ箱に捨てる――、そんな感じの時間になると思います。それを続けるうちに話すことにも慣れますし、気持ちはスッキリするしで、イイことづくめだと思います。 ――最後にぜひ、この本を手に取ってくれた読者にメッセージをお願いいたします。 私はよく「強いね」とか「軸がブレないね」と言っていただくことが多いのですが、自分で自覚しているのは、【ものすごく腹が据わった部分】と【面倒くさいぐらい繊細な部分】が混在している、大変扱いにくい性格ということ(笑)。それを自覚できたのはとても得難い経験でした。 芸能界という大変な場所で、自分を変えたくて、あらゆることを試してみました。そして、実際に効果があったものを今回の『心に効く美容』に余すところなく掲載しています。 自分の悩みへの処方箋が分かっていれば、人生もう少しラクに、前を向いて歩くことができます。私の経験から、そう確信しているので、究極にツラいときはコレ、身体がだるいときはコレ、朝からムカついているときはコレ、という具合に、そのときの自分にフィットするページを見てもらえると嬉しいです。日々の生活がより楽しく、前向きになるような、その手助けができたらいいなって思っています。 MEGUMI 1981年9月25日生まれ、岡山県出身。2019年、映画『ひとよ』の演技により、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。現在ではタレント、役者業に加えて、実業家、映像プロデューサーの顔も持つ。23年に上梓した『キレイはこれでつくれます』(ダイヤモンド社)が大ヒット。美しさに磨きをかけるための徹底したハウツーを網羅した一冊は、年齢を問わず女性のバイブルとなっている。最新の著書『心に効く美容』を5月12日に上梓。
前田美保