「ぼくらの七日間戦争」作家・宗田理さん、死去 95歳
女優・宮沢りえ(51)の映画デビュー作「ぼくらの七日間戦争」の原作者として知られる作家の宗田理(そうだ・おさむ)さんが8日、死去した。95歳。KADOKAWAが発表した。東京都出身。葬儀は家族で行った。喪主は長男・唯(ゆい)氏。85年の「―七日間戦争」から始まる「ぼくら」シリーズがベストセラーに。90歳を超えても精力的に作品を書き続けていた。 知恵を振り絞った子供たちが、大人が思いもつかないようないたずらを駆使して一泡吹かせるという痛快劇が繰り広げられる「ぼくら」シリーズで、30年以上にわたって少年少女たちを楽しませてきた宗田さんが亡くなった。 現在でこそ「子供向け小説作家」として知られる宗田さんだが、最初は“本格派”を目指していた。直木賞候補にもなったデビュー作「未知海域」は、秘密結社や諜報機関が登場するサスペンス小説。そもそも、全共闘がテーマの一つとなっている「―七日間戦争」も、大人の読者を意識して書いたものだったが、圧倒的に支持をしたのは子供たちだったという。 葛藤する宗田さんを救ったのが、角川書店(現KADOKAWA)の角川歴彦さんだった。「子供向け小説は誰でも1、2作は書けるけれど、書き続けられる人というのは、なかなかいないんだよ」という言葉に、「望まれているのであれば、子供向け小説を続けて書いていこう」と考え方を変えたという。 85年の小説「ぼくらの七日間戦争」が中高生の支持を集め、3年後に宮沢りえ主演で映画化され、ヒット。「ヤングアダルト」の物語の先駆けともいわれた。以後、晩年まで書き続けた「ぼくら」シリーズは現在までに全47作、累計発行部数は2000万部以上の大ベストセラーになった。「ぼくら」2018年5月にポプラ社が発表した「“こどもの本”総選挙」では、近年に出版されたシリーズが軒並み上位を占める中、8位にランクインした。 19年12月には、宗田さん自身は製作に携わっていないものの、「―七日間戦争」の世界観を2020年に移し、オリジナルストーリーで描いたアニメ映画「ぼくらの7日間戦争」が公開された。その完成を見届けるようにして天国へと旅立った。 ◆宗田 理(そうだ・おさむ)1928年5月8日、東京都世田谷区生まれ。8歳で愛知県西尾市に転居。日大芸術学部卒業後、編集者や広告代理店を経て、79年に「未知海域」で作家デビュー。同年の第81回直木賞候補作に選ばれる。85年の「ぼくらの七日間戦争」から始まる「ぼくら」シリーズはベストセラーとなる。他の著書に「雲の涯」「13歳の黙示録」など。
報知新聞社