「えっ…!」DIYでつくったの!? メルセデス・ベンツの「カッコいいコンセプトカー」が実車に! 市販されない「夢のクルマ」を生み出す情熱とは
究極のラグジュアリーを定義したコンセプトカーをDIYで実車化
2017年8月、メルセデス・ベンツはアメリカ・カリフォルニア州ペブルビーチで開催されたクラシックカーの祭典において、1台のカッコいいコンセプトカーを初披露しました。それが「ビジョン・メルセデス・マイバッハ 6カブリオレ」。 【画像】「えっ…!」市販されないコンセプトカーを実車化! これが完成度抜群のレプリカ車両です(15枚)
ロングノーズ&ショートデッキという2ドアデザインは、効率を無視して優美さだけを追求した姿です。未来における究極のラグジュアリーを定義するデザインと革新的な技術を兼ね備えたコンセプトカーで、4輪それぞれにインホイールモーターを搭載した最高出力550kWの電気自動車でした。 前年の2016年には、「ビジョン・メルセデス・マイバッハ 6クーペ」も披露されていたので、2年連続でエレガントなコンセプトカーを披露した、というわけです。 「ビジョン・メルセデス・マイバッハ6」はクーペ、コンバーチブルともに評判は上々。多くのクルマ好きに「コンセプトカーと似たデザインの市販モデルが投入されるかもしれない」と淡い期待を抱かせたものの、全長5700mm、全幅2100mmの大胆なプロポーションは市販化するには厳しかったようです。 そんな夢のコンセプトカーを「市販化されないならDIYでつくってしまおう」と思い立った人がロシアにいたようです。クルマコンテンツ・クリエイターのインスタグラムに投稿された写真が、先ごろちょっとした話題となりました。 ●どうやってDIYしたかが分からないなほどの見事な出来栄え インスタグラムに投稿された写真は、製作途中のものと思われる2枚と、街中で停車中の様子を写した4枚だけですが、驚くほどの完成度(悪くいえばコピー精度)であることがうかがえます。 ベースモデルとなったのは、メルセデス・ベンツのR230型「SL」。とはいえ、それがどのようにして「ビジョン・メルセデス・マイバッハ 6カブリオレ」のプロポーションへと昇華したのかは謎です。 リアはボディパネルを延長、ホイールはスペーサーを“噛ませて”ワイド化していることなど、容易に想像がつく部分もありますが、例えばフロントタイヤの位置は、シャシーを切断して延長したのでしょうか? また、ボディパネルは地道にたたき上げて仕上げたようですが、見事な仕上がりです。ヘッドランプ、ドアミラー、テールランプもコンセプトカーとほぼ同じデザイン。唯一、ボンネット上部のエアアウトレットだけは、R230ゆずりであることが分かります。これは逆に、写真がCGではないことを証明する部分ともいえるでしょう。それにしても、見事な板金技術ですね。 内装の写真は一切公開されていませんが、ちょっとだけ見えるシートの上部から、R230のままであることが分かります。 ただし、安全面では懸念が残ります。公道走行には厳格な基準があり、いくら完成度が高くてもレプリカでは基準をクリアすることは困難です。こうしたモデルの製作者たちは自身の作品を“アート”として扱い、実際の走行は控えることが一般的です。 ほかにも、レプリカで面白いものはないか? と検索していたら、ベトナムの片田舎でパガーニ「ウアイラ」のレプリカをつくったという、ドラマ仕立てのYouTube動画を発見しました。 それは、「I turned a ¥200 used Toyota into a supercar」=「近所の笑いものになったので200ドルのトヨタ車をスーパーカーにしてみた」と名づけられた動画で、原始的な作業から生み出せるとは思えない見事な仕上がりです。ロシア製「ビジョン・メルセデス・マイバッハ 6カブリオレ」の板金ほど精緻な仕上がりではありませんが、作業工程は見応え十分です。 レプリカ製作には商標権の問題など法的な課題もありますが、それを手がける人の技術力と情熱は多くの人々を魅了します。こうした草の根の創造性は、新たなインスピレーションの源となるかもしれません。夢のクルマを現実のものとする人々の情熱と挑戦は尽きることはなさそうです。
古賀貴司(自動車王国)