医療費無料、中学生は村負担で海外留学…「一人あたりのふるさと納税寄付金が全国1位」村の驚きの政策
その時の返礼品はなんだったかというと、ビール、コーヒー、米……。 「たまには贅沢なものをと思う人が多いと思っていましたが、日用品を求める人が多かったんです」 しかし、その後地場産品のみ返礼品として認められることになり、’19年は1億7900万円まで落ち込んだが、徐々に盛り返し、’21年は8億9700万円、そして’22年は9億6600万円になった。 こうして寄せられた寄付を北山村では「総合戦略」として長期計画をたて、それに従って使っているという。 「子育て・福祉・観光・教育など様々な施策の柱がありますが、その中でも若者定住には力を入れてます」 賃貸住宅の家賃補助、住宅取得補助などのほか、北山村では18歳まで医療費は無料、小中学校の給食費も、保育料も無料となっている。 こうした施策が功を奏したのか、現在65歳以上の割合は45%(’20年国勢調査)になったとか。 ◆じゃばら加工工場も建設! 人口が少ない村だからこそできることを 「人口が少ないからこそ、できることがある。現在、全住民に防災用の備蓄食料や放送の受信機を配ったりしております、それもこの人口だからできること。 教育の面でもとくに英語教育に力を入れており、中学2、3年生になると、海外留学としてホームステイをしております。その費用は全額村で負担しています」 なんと北山村では、保育園でも英会話教室を開いていて、学んできたことを発揮する機会として海外留学に送り出しているのだとか。 「現在、中学の生徒数は8人でこの人数だからこそできる。’10年から行っていますが、こういうことが継続できるのも、ふるさと納税のおかげです」 観光にも力を入れている。 北山村のあたりは杉の産地で切り出した杉をいかだに組んで下流まで運んでいた。そのいかだを組む技術、いかだを操る技を受け継いで行っているのが観光いかだ下りだ。同じ川でラフティングもできる。 「宿泊施設としてキャンプ場やバンガローもありますが、どちらも老朽化している。これらの改修や修繕も必要ですし、川以外の観光についても総合戦略となっています」 ふるさと納税を利用して、じゃばらの新加工工場を建設し、じゃばらの加工品も多く作れるようになってきた。雇用の創出にも役立っている。 寄付金を貯めておくだけではないかと、批判の声も聞かれるふるさと納税だが、北山村への寄付金は、確実に村の未来作りに役立っている。 取材・文:中川いづみ
FRIDAYデジタル