51人に疎開体験伝える 戦争語る会が鴨川小6年生に出前授業(千葉県)
鴨川市の有志でつくる「戦争を語り、伝える会in鴨川」は、鴨川小学校の6年生51人を対象にした戦争体験授業を行った。市内在住の女性2人が、小学生のときの疎開体験などを語り、児童らは真剣に耳を傾けていた。 同会は、戦争を語る人が減少する中、体験談を記録として残していこうと、戦後70年の2015年に発足。「鴨川の戦争とくらし50人の証言」を発行し、戦争体験者を招いた講演会や、市内の小学校での出前授業も行っている。 小学5年時に東京から栃木に学童疎開した田中房江さん(90)=同市金束=は、夜になると、家が恋しくてみんな泣いて過ごしたという。「食べるものがなくて、いつもおなかがすいていた。冬はつららを食べ、絵の具をなめたこともある」と悲惨な生活ぶりを話した。 同校出身の庄司美代子さん(90)=同市貝渚=は、「昼になると毎日アメリカの爆撃機が上空を通過し、弟3人と防空壕(ごう)で通過を待った」と振り返った。 後に、貝渚から粟斗の寺へ町内の子どもたちと疎開。物もなく、学校もほとんど休みで、「今は物であふれているが、物を大切にして、私たちができなかったことを楽しんで。戦争のない平和な世の中でいられますように」と願った。 横山真帆さんは「教科書よりも戦争の苦しさや悲しさがよく分かった。今は給食をみんなで楽しく食べているが、食べ物のありがたさを忘れないようにしたい」と話していた。