高橋洋一氏 “年収の壁”議論に「壁だ、壁だって言うこと自体が財務省の陰謀、陽動作戦に乗っている」
元内閣官房参与で経済学者、数量政策学者、嘉悦大教授の高橋洋一氏(69)が18日、ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」(月~木曜前8・00)に出演。厚生労働省が“106万円の壁”の見直しに向けて議論していることに言及した。 厚労省は15日、社会保障審議会の部会で、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を議論し、撤廃すべきだとの意見が大勢だった。 保険料の負担を避けるため働く時間を抑制する「106万円の壁」とされてきた。撤廃されれば週の労働時間が20時間以上の人は、年収を問わず厚生年金に加入することになる。老後給付が手厚くなるメリットがある半面、保険料負担で手取り収入が減るといった課題があり、厚労省は企業が保険料を肩代わりする支援策を提案した。 高橋氏は「103万円の壁を178万円に上げると、ほとんどの壁は関係なくなる」と指摘し、「要するに106万円の壁なんて、ほっておいたって別に178万円に上げれば、ほとんどの問題は解決するんです」と自身の見解を述べた。 そして、「要は陽動作戦なんです。私は最初から言っているんですが、壁だ、壁だって言うこと自体が財務省の陰謀、陽動作戦に乗っているんですよ」と言い、「これは正確に言うと、壁ではなくてそもそも所得税の控除の問題。控除をずっと先進国に比べて少ないということは、たくさん税金を取るということ。英語で言うとブランケットクリック、日本語だとステルス増税なんですよ。ステルス増税を29年続けていたってだけなんですよ。それをまず直せっていうことから始めるんです」と述べた。 ◇年収の壁 会社員や公務員に扶養されるパート従業員らは、一定の年収を上回ると社会保険料や税金の負担が生じる。この年収の境目が、就労抑制を招く「壁」と呼ばれる。企業にとっては人手不足の要因となる。社会保険料では「106万円の壁」と、従業員数が50人以下の企業に勤める人の「130万円の壁」がある。これとは別に、所得税が発生する「103万円の壁」もある。