市川男女蔵、8キロ減量して「毛抜」粂寺弾正役「おやじさん、ダメ蔵ですけど、見守ってください」父左團次さんの一年祭追善狂言
歌舞伎俳優の市川男女蔵、市川男寅が16日、都内で歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」(5月2~26日)の昼の部「毛抜」の取材会を行った。 昨年4月に亡くなった4代目市川左團次さん(享年82)の一年祭追善狂言。左團次さんの当たり役のひとつ、粂寺弾正を長男の男女蔵が演じ、錦の前を孫の男寅が演じる。 男女蔵が粂寺弾正を演じるのは2004年の新春浅草歌舞伎以来、20年ぶり2度目。2か月ほど前からウォーキングで8キロのダイエットに成功し、精悍(せいかん)な表情で「僕は4代目左團次の男臭くて、ちゃめっ気がある粂寺弾正が好き。足元にも及ばないので、いま持っている力を出したい」と謙虚に抱負を語った。 生前の左團次さんは、丁寧に芸を教えてくれるタイプではなかった。「聞かないと、何も教えてくれない人でした。楽屋で(役を)見てもらっても『私だったら、そう言わないですよ』とか。テンポが違うのか、発音が違うのか、教えてくれない。『あなたはあなたの道で作りなさい』と」。父が天国へと旅立ってから1年。今思えば「自分が居なくなった時に困らないように、わざと突き放していたのかもしれない。裏の愛情があった気がする」。父が心に秘めた優しさに気付いたという。 前日(15日)が命日で、納骨したことを報告。男女蔵は墓前で手を合わせ「お疲れ様でした。おやじさん、ダメ蔵ですけど、見守ってください」と言葉をかけた。男寅は「プライベートでは一度も食事に行ったことがなかった」と明かし、「祖父は多くの後輩たちから愛されて、面倒見が良かった。そのおかげで、巡り巡って僕が先輩から助言をしてもらえる」と感謝した。
報知新聞社