村上春樹「ダイレクト・カッティング録音」の魅力とは? 自身のラジオ番組『村上RADIO』で語る
◆The L.A. Four「Greensleeves」
今日はダイレクト・カッティングで録音されたレコードを特集します。 まず、L.A. Fourの「グリーンスリーブズ」を聴いてください。ギターのローリンド・アルメイダを中心としたカルテット、フルートがバド・シャンク、ベースがレイ・ブラウン、ドラムズがシェリー・マンという、西海岸在住の一流ミュージシャンをそろえた顔ぶれです。1977年の録音、録音場所はカリフォルニアですが、制作は日本フォノグラムで、録音スタッフは日本から出張した日本人が中心になっています。アルメイダのアコースティック・ギターの音色がとりわけ美しいです。 いまからちょっとかけますね。(よいしょ……)3曲目ですね。 本当は、こういう特集はできるだけ大きなスピーカーでがっつり聴いてもらいたいんです。そうしないと、そこにある音のクリアさやダイナミズムがよくわからないから。でも最近はradikoで放送を聴く人が中心になっているみたいで、残念といえばちょっと残念ですね。もちろん聴いていただけるだけで嬉しいんだけど、ぼくらの世代は、「スピーカーと正面から向き合って音楽を聴く」という行為に慣れちゃっているので、そういう傾向は、やはりいくぶん寂しくもあります。 (TOKYO FM「村上RADIO~ダイレクト・カッティング特集~」2024年3月31日(日)放送より)