ドジャース・大谷翔平（ロイター）

　ドジャース・ヤンキースがワールドシリーズで戦った１９８１年は、実はメジャーにとって特異なシーズンでもあった。 　２２日に亡くなったばかりのＦ・バレンズエラ投手（ドジャース）が初先発から８戦全勝うち完封５度というセンセーショナルな出来事でスタートしたシーズンだったが、フリーエージェント制の見返り選手問題に端を発した労使紛争で６月１２日から７月３０日まで４９日間、５８０試合の試合が消滅した。 　当時はア・リーグが東西７チームずつ、ナ・リーグが６チームずつの編成で、各地区優勝チーム同士が、リーグ優勝決定シリーズを戦ったが、このシーズンは折衷案として、前期と後期の各地区首位同士が対戦し、そのあとにリーグ優勝決定シリーズを戦った。ちなみに前後期ともに同じチームが首位だった場合は、後期２位のチームが地区シリーズで戦うというプランもあった。 　このルールのため、前期首位チームは故障などを避けるために無理をせず手抜き？　アスレチックスは２位だったが、ヤンキースは６位。ナ・リーグでもフィリーズ３位、ドジャースも４位。後期２位につけたチームは「地区シリーズのために前期１位チームに負ける」とも発言しファンをあきれさせた。 　このルールに割を食ったのが、カージナルスとレッズ。ともにシーズンを通じて地区のトップの成績を残したのに関わらず、前後期ともに首位になれずに地区シリーズに出られず地元ファンを嘆かせたのだった。 　そんなストライキの真っ最中に全米の野球ファンの注目を浴びたのが３Ａポータケットとロチェスターの試合。４月１８日に午後８時２５分に始まった試合は、翌日の午前４時７分、延長３２回終了時に２―２のままサスペンデッドゲームとなった。１７４９人のファンのうち最後まで残ったのは１９人だったそうだ。 　試合の続きは６月２３日、ＭＬＢが選手会のストライキ中だったので全米から１８０人もの記者がつめかけた。、試合は延長３３回にＤ・コザのタイムリーでポータケットがサヨナラ勝ち。試合時間はトータル８時間２５分だった。 　この試合、その後も語り継がれるもう一つの理由は、ポータケットにはＷ・ボッグス、ロチェスターにはＣ・リプケンというその後メジャーで大活躍した２選手がフル出場していたことでもあった。