ひろゆき&武井壮の百獣の王vs論破王⑬ 武井壮はどのようにして芸能界に入ったのか?【この件について】
ひろ でも、それだけで芸能界デビューできませんよね? 武井 もちろん。エピソードトークも必要だから、例えば腕だけで高尾山を登ったりもした。 ひろ えっ!? 武井 あのときは7時間くらいかかったかな。めちゃめちゃキツくて、途中で3回くらい泣いたよ。でも、腕を動かし続けていると途中でアドレナリンがバンバン出て、突然、疲労感がなくなるときが来る。 ひろ ランナーズハイみたいな現象が起きたんですね。いや、この場合はクライマーズハイ?(笑) 武井 そこからスイスイ進み出して、後半はすごいペースで登ることができた。そんな感じで、とにかくネタになるエピソードをどんどん増やしていった。つまり、エピソードトークという商品を仕入れる作業を毎日のように行なった。ほかには毎月、山に2泊したり、24時間で腹筋を何回できるか挑戦したり......。 ひろ バーで話しかけた相手が、そんなヤベーヤツだと面白がってくれますよね。 武井 あとはそういうエピソードを話して、トークスキルも学んだ。タレントさんや芸人さんというプロを相手に話をして、笑ってもらえる言葉選びを訓練した。すると、普段から芸人さんが練習相手だから、初めて出演したテレビ番組でも絶対に失敗しないという自信にもつながった。 ひろ なるほど。普段から準備と実践を重ねてきたわけですね。 武井 「こいつトークできるな」という信頼を獲得できたし、制作会社や広告代理店の人と知り合って、芸能で仕事をする上で注意しなきゃいけないことも勉強した。すると、声をかけてもらえることが多くなって、番組で磨き切ったネタを放出できるようになったんだよ。「武井壮」という商品を買ってくれる番組がたくさん増えたんだよね。 ひろ めちゃめちゃ考えてますね。これ、武井さんが目指した業界が芸能界であっただけで、この考え方はほかの分野でも十分通用しますよね。 武井 と思う。とにかく「ゼロイチ」をまず作らないとダメだよね。俺の芸能界デビューのゼロイチ、つまり最初の一歩は、やはり芸能界の人たちが多く集まる場所での経験だった。 ひろ 武井さんの場合は、それが西麻布だったと。 武井 そう。で、芸能界はテレビやラジオでトークやパフォーマンスをすることが商品なの。 ひろ だから、その商品をうまくアピールしたと。 武井 そして、新商品も増やしていかないと、お客さんにはすぐに飽きられちゃう。俺がいまだにトレーニングしたり、人から「なんで?」と言われるようなことに挑戦しているのは、自分の中の商品を増やしているからなの。するとテレビやラジオ、それこそ、こういう対談の場でも話せるでしょ。 ひろ 武井さんは成功すべくして成功したんですね。「とにかく成功したいけど、なかなかチャンスがつかめない」という人には、めっちゃ参考になると思います。 *** ■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など ■武井 壮(So TAKEI) 1973年5月6日生まれ。東京都出身。タレント、元陸上十種競技日本チャンピオン。格闘技、野球、ゴルフなど様々なスポーツの経験を持つ。公式Webサイトは【】、公式Xは【@sosotakei】 構成/加藤純平(ミドルマン) 撮影/五十嵐和博 ヘア&メイク/奥野誠