<サッカーU-22>リオ五輪へ手倉森ジャパンの現在地
また、興味深かったのは、ゲームの進め方だった。前半の15分頃までは、簡単に相手のディフェンスラインの裏に放り込むことが多く、中島が決めた先制ゴールも、右サイドバックの松原健のアーリークロスがディフェンスの裏でバウンドした落ち際を左足で叩いたものだった。 ところが、15分過ぎからは、ショートパスで相手のブロックの隙間を突いて押し込み、コンビネーションで崩していく攻撃が増えていく。それが意図してのものだったことを明かしたのは、ボランチとしてゲームを組み立てた大島僚太だ。 「最初は相手の特徴も分からなかったので、変な失い方もしたくないってところもあって、チームとしてまず背後というのを心がけてやっていたので、ただ、あまり背後を狙いすぎた部分もあったと思うんですけど、入り方としては良かったのかなと思います」 ゲームコントロールは守備意識と並行して指揮官が強調してきたテーマのひとつ。指示を待つのではなく、自分たちで話し合いながら進められるようになってきたことも、この試合で見えた収穫のひとつだった。 もっとも、すべて流れの中からのゴールだったということは、逆に言えば、セットプレーでゴールが奪えなかったことでもある。78分には逆に相手の右コーナーキックからこの日唯一の失点を許してしまったが、セットプレーに関しては、まだ入念に練習していないという実情がある。それがこの先のテーマだと手倉森監督は説明する。 「実はセットプレーに関しては、マレーシアに入ってから詰めるから、という話をしていたところだった。今日の失点は、予選に向けて、そこをしっかりやれよ、というご忠告だと前向きに捉えたい」 今回の遠征に参加した18人はコアメンバーだと指揮官は断言した。さらに、負傷のため今回の遠征を辞退した矢島慎也と井手口陽介、17日に控えるACLプレーオフを優先した柏レイソルの山中亮輔と秋野央樹、ヨーロッパでプレーするスイス・ヤングボーイズの久保裕也、オーストリア・ザルツブルクの南野拓実の6人が、1次予選を戦うメンバーの候補になるはずだ。 3月11日、フクダ電子アリーナで行なわれるU-22ミャンマー代表とのテストマッチで最終確認をして、決戦の地、マレーシアに乗り込むことになる。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)