党内部からも「パフォーマンス」と厳しい声…自民裏金問題で野党が躍進できない「残念すぎる理由」
二階俊博元幹事長(85)が次期衆議院選挙の不出馬を表明。塩谷立元文科相(74)、下村博文元文科相(69)に西村康稔前経産相(61)、世耕弘成前参院幹事長(61)ら旧安倍派幹部には「非公認」以上の処分が検討されるなど、裏金問題で自民党が大揺れだ。 【写真】求心力に疑問…立憲・泉健太代表が見せた苦悩の姿 今年度中の衆議院選挙の開催も囁かれ始めているが、そんな自民党の惨状を受けて野党が大幅に議席を伸ばせるか――というと、そんな展望はほとんど聞こえてこない。全国紙野党番記者がため息をつく。 「格好の“敵失”で、野党は存在感を発揮する大チャンスなのですが、立憲民主党や日本維新の会を筆頭に目立った成果をあげられていない。解散総選挙になったとして、政権への不信から自民党は議席を多少は減らすでしょうが、大幅減にはなりそうにない。日本維新の会の念願である自公政権の過半数割れなど、夢のまた夢でしょう。既存政党に期待できないという絶望感は国民だけではなく、現場で取材している記者も肌で感じています」 実際、永田町を歩くと野党内からも同じような意見が聞こえてくる。とくに野党第一党の立憲民主党議員の歯切れは悪い。同党の中堅議員が嘆く。 「3月1日の本会議で山井和則衆議院議員(62)が予算案の衆院採決を遅らせるために2時間54分もの趣旨弁明を行いましたが、パフォーマンスでしかなく『税金の無駄遣いだ』という批判が相次いだ。そこにきて野間健衆院議員(65)のパーティ券収入50万円の収支報告書不記載だった件が発覚するなど、ブーメラン現象まで起きている。最大の問題は現執行部の求心力の低さ。とくに泉健太代表(49)の舵取りに疑問を呈する若手が多い。岡田克也幹事長(70)、安住淳国対委員長(62)主導で党運営が行われているのが現状で、めぼしい次期リーダー候補もおらず、閉塞感は強まっています」 現体制での選挙対策についても、この中堅議員は疑問を呈した。 「党内には野党共闘や選挙協力を望む声がある。今のままでは選挙で勝てない、という危機感のあらわれなのですが、泉代表の共産党アレルギーは相当なものがある。とくに志位和夫前委員長(69)には私怨めいたものすら感じるほど。田村智子新委員長(58)に代わったことで態度が軟化すればいいのですが……いずれにしろ、ウチ単体で戦うには限界がある」 一方で、次期衆議院選挙で野党第一党を目指す日本維新の会の支持も伸び悩んでいる。万博開催の是非や所属議員のスキャンダルの多さかがその一因とされている。日本維新の会の若手議員がつぶやく。 「万博は党勢拡大には繋がっていない。党勢拡大どころか、地元・大阪以外の反応がすこぶる悪いのが気がかりです。新たな懸念事項も出てきました。音喜多駿政調会長(40)が社会保障費の財源を確保するため、高齢者の医療費の窓口負担を原則3割にすべきだと提起したことで逆風が吹きかねないのです。少子高齢化が進むなか、将来的には必要な政策であることは間違いない。ただ、このタイミングでぶち上げる必要があったのか。選挙で大きなウエイトを占める高齢者層からの反発が怖いです。衆議院選挙に鞍替えする音喜多さん個人のパフォーマンス的な要素が強いとも感じており、ちゃんと上層部と連携が取れているのか、甚だ疑問です……」 読売新聞・日本テレビが行った3月の世論調査で「自民党を支持する」と答えた人は全体の23%。次いで立憲が8%、日本維新の会が5%と並び、支持する政党はない、という回答は51%にも及んだ。そして、政治資金パーティの野党での国会対応を評価しない、と答えた人は61%。今の野党に期待できない、という数字は78%となっている。 野党が弱い限り、健全な政治が望めないのは自明の理。だが、今の日本で野党が国民の支持を得て、政治改革に乗り出すという未来はとても描けそうにない。
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