予選制圧のTEAM MUGEN、“今回も”シナジー炸裂。岩佐歩夢に敗れた悔しさバネにPPの野尻智紀、フリー走行の不調から挽回した要因を語る
スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーフォーミュラ第3戦では、TEAM MUGENの2台が速さを見せた。野尻智紀がポールポジションを獲得し、岩佐歩夢も2番グリッドを確保。チャンピオンチームが堂々のフロントロウ独占となった。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第3戦SUGO:予選結果 野尻は今季開幕戦鈴鹿を制したものの、第2戦オートポリスではチームメイトでルーキーの岩佐の後塵を拝した。その悔しさは相当なもので、かなり落ち込む日々を過ごしていたというが、それも一種の「起爆剤」にできたと考えている。 「前戦は岩佐選手がポール、僕が5番手と、チームメイトに差をかなりつけられたという印象でものすごい悔しかったです」 野尻は記者会見でそう語る。 「正直このインターバルとかも結構心が折れていて、レースに向き合いたくても向き合えないぐらいヘコんでたんですよ。でもやらなきゃという義務感も多少はあって……その中でちょっとでも向き合う日々を過ごしてきましたけど、やっぱりどっか向き合えないなという自分もいて……日々戦ってました」 「でもレースが近付く中で気持ちも少しずつ入ってきて、チームのスタッフと会話もしていく中でメンタルを1個1個積み上げていく形で今日を迎えました。走り始めが良くなかったので、そこでまた心が折れかけてたんですけど、チームのやってることを信じて、自分なら大丈夫と言い聞かせて臨みました」 「すると不思議と今までで一番に近いくらい良い走りができたという気もしますし、何か自分の中で追い込まれたことがひとつ起爆剤となったような気もします。今日は自分の中でも良い走りができたし、マシンパフォーマンスをしっかり引き出したなという充実感みたいなものを久々に感じています」 野尻はフリー走行では不調で15番手に沈んでいたものの、そこから巻き返してのポール獲得となった。曰く、特定のパーツを岩佐のマシンと同じものにしたことが、パフォーマンスアップに繋がったという。お互いがお互いのセットアップの良いところを補完しながら相乗効果を生んでいくというスタイルは、もはやTEAM MUGENの“お家芸”とも言える。 「僕らがやっていたことと、隣の岩佐選手たちがやっていたことは、オフの段階からちょっと違っているところがありました」と野尻。 「僕らは僕らの道で頑張って、そっちにうまみがないかやっていたんですけど、前回ぐらいからどうも怪しいなという感覚がありました。今週もその流れで入ってたんですけども、やっぱり良くないとなり、(練習走行後の)スタート練習の直前にとあるパーツを15号車(岩佐)と同じもの……過去に僕らも使っていたものに変えたら、そっちの方がフィーリングも良くてスタビリティも上がった感覚がありました」 「15号車がいろいろと積み重ねたものを今回”借りた”、というか参考にしながら、予選のセットアップを作ったという感じですね」 一方の岩佐も野尻のタイムには届かなかったものの、2番手という好位置を確保した。マシンのフィーリングはまずまずで、Q1からQ2にかけてのセットアップ変更も良い方向にいったようだが、それを走りの面で100%活かし切れなかった点を悔やんでいるようだ。 岩佐は次のように語る。 「トップと約0.1秒差という、見えるところの差なので『ああすればよかった。こう出来たんじゃないか』というところは正直あって悔しいです」 「ただ、前回のオートポリス同様にフリー走行から良いステップを踏んでひとつひとつ詰めてこれましたし、初めてのサーキットでも2戦続けて予選で結果を出せているというのはポジティブです」 そのTEAM MUGENの2台に敗れて3番手に終わったのがVANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔。スーパーフォーミュラでは今季からトムスの所属となった坪井は、エンジニアとのコミュニケーションが向上したことも今回の好結果につながっていると分析したが、その一方でTEAM MUGENの壁は厚いと改めて語った。 記者会見の後、坪井は次のように語った。 「何年も前から無限の底力みたいなものは感じていて、その辺はすごいなと思っていました。今回それが露骨に出たワンツーでした」 「フリーから予選にかけてのタイムの上がり方もそうですし、先ほどの記者会見で(野尻が)15号車を参考にしたと言ってましたけど、それをすぐに参考にして結果が出るくらい、パフォーマンスが出る何かがあるということです。逆に、僕らとしてもその辺を見つけられればもうちょっとパフォーマンス出せるかなと思います」
戎井健一郎
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