香港客「ドライブ需要」取り込め 静岡空港へ17日就航 レンタカー予約急増
静岡空港(牧之原市)の香港線が17日に新規就航するのを前に、空港内のレンタカー会社の貸し出し予約が急増している。背景には香港の交通事情やドライブを主目的とする観光需要がある。ただ、利用者の多くが山梨・関東方面へ向かうとの見方も強く、静岡県の周遊にどのように結び付けるのかが地域の観光振興に向けた鍵となる。 13日午後、静岡空港のターミナルビル1階ロビー。ソウル線の到着後、韓国人客がレンタカー会社4社が並ぶ窓口に向かう。空港関係者の一人は「香港線就航後は、ここに今よりも列ができるはず」と期待する。 トヨタレンタリース静岡では香港線就航が決まった直後の10月から、香港在住者の予約が入り始めた。17日の運航初日の予約数は同営業所の貸出件数平均の約170%増。12月は年末にかけて継続的に予約が入っている。同社の秋山晋一エリア長は「便数が増えたソウル線を使う韓国客と同程度の利用が見込まれる」と需要の高まりを強調した。 香港で発行される国際免許証は日本国内でも有効。加えて同社は予約増加の理由として、現地の車が日本と同じ「右ハンドル、左側通行」のため、運転がしやすい点を挙げた。 富士山静岡空港株式会社の担当者は、香港は建物が密集し、車の運転に向かない土地柄であることを踏まえ、「日本の比較的広い道路でドライブしたいとの願望がある」と指摘する。日本政府観光局が香港で約千人を対象に実施したアンケートでは、免許取得者の7割以上が「今後日本でドライブしたい」と回答しているという。 静岡空港からの公共交通アクセスの脆弱(ぜいじゃく)さが地域課題となっている周辺市町は、レンタカーの予約増を「好機」と捉える。一方で、韓国人旅行者の多くが富士五湖や箱根周辺に出かけている現状は重く、香港からの旅行者も同様のルートをたどるのではと気がかりだ。 牧之原市地域振興課で空港担当の笠井麻央主査は「静岡空港から車で約20分の静波海岸やサーフスタジアムに向かう流れをつくりたい。香港の人が何を求めているのか、情報収集とPRの検討がもっと必要」と実感を込めた。
静岡新聞社