シニア向けの多彩な生活支援サービス 目的を決め活用しよう
終活支援のサービスも利用できる
高齢の方にとっては、相続をどう進めるか、病気の際の治療法や延命措置をどうするか、死後の葬式やお墓をどうするか、といったことが次々に心配になります。 例えば、エンディングノートや遺言状の書き方が、わからなくて困っている方もいるかと思います。身近にいる家族と十分に話し合いができればいいのですが、家族は遠方に住んでいる、1人暮らしで身寄りが少ないといった方は、行政や民間が行っている各種の「終活支援サービス」は、頼りになる存在です。 とくに高齢者の生活相談などを積極的に行っている自治体も多く、介護サービスだけでなく、葬儀の取り扱いや納骨代行の手配など紹介してもらえます。自分が亡くなった場合にどうしたらよいかも、深刻な問題です。 例えば、地方自治体が運営する「包括支援センター」は、こうした高齢者向けの相談の窓口となっている機関で、一度訪問してみるとよいと思います。行政自体で行うことはなくても、その方の希望を聞きつつ、必要なサービスを提供している会社やNPO団体を紹介してもらえます。 相続や財産管理については、これまでは信託銀行が中心的な役割を担ってきました。ただ多くの方にとっては「それほど財産もない」という理由から、どちらかというと「敷居が高い」「縁がない」存在と思われてきました。近年では、相続や財産管理について、金融機関以外の民間企業や自治体でも、熱心に取り組むようになってきました。 民間企業では、自社の持つ強みを生かしながら終活支援のサービスを展開しています。例えば相続を得意としている会社・団体では、相続税の相談だけでなく、金額がどのくらいになるかを計算してくれます。必要に応じて、税理士などの紹介、遺言状作成のサポートもしてもらえます。 葬儀の簡素化が進むなか、新たな終活サービスもみられます。葬儀場の手配はもちろん、墓地や納骨堂の価格などの情報をネットなどで紹介し、手配までお願いできます。さらに本人が亡くなった後の諸手続き、例えば、預金口座や公共サービスの解約、各種保険証の返納といった手間のかかるニーズにも対応してもらえます。 ご自分の希望や周囲の環境に見合って選択することが大切になります。そのためには比較的自己判断ができ、足腰がしっかりと動くときから準備していきたいものです。 執筆者:黒木達也 経済ジャーナリスト 監修:中嶋正廣 行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
ファイナンシャルフィールド編集部