【MotoGPコラム】ロッシ/マルケスの大チャンピオンの系譜は間違いなし? 超速でMotoGPクラス昇格のペドロ・アコスタ、セパンテストで見せたその片鱗
間違いなく、天才ライダーである。おそらくバレンティーノ・ロッシやマルク・マルケスの系譜に連なってゆくのだろうと思わせる資質の高さは、中小排気量時代からすでに明らかだった。 【ギャラリー】セパンテストでMotoGPマシンに乗るアコスタ。もう慣れた? レッドブル・ルーキーズカップで2020年にタイトルを獲得し、翌年に16歳でMoto3クラスへ昇格。開幕戦のカタールGPでは激しい優勝争いの末に2位に入った。この年は新型コロナウイルス感染症の影響によりカタールで2週連続の開催になったが、翌週のドーハGPではデビュー2戦目ながら優勝を飾り、メディアセンターが騒然としたことを今もよく憶えている。そのデビューイヤーにMoto3チャンピオンになり、2022年にはMoto2へ昇格。2023年にこのクラスでも王座に就いて、今シーズンからMotoGPへステップアップした。 あれよあれよという間に参戦クラスを上げてきたペドロ・アコスタ(Red Bull GASGAS Tech3)は、この2024年シーズンに、最高峰クラスルーキーとしてマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行なわれるプレシーズンテストにシェイクダウンから参加した。 ルーキーと各陣営テストライダー、コンセッション対象陣営のチームが走行するこのテストで、アコスタはトップタイムを記録。MotoGPフル参戦の全選手が参加する公式テストが始まる前に、このシェイクダウンでベテランのテストライダーたちや経験豊富な現役選手を抑えてトップタイムを記録したことについて、彼に訊ねてみた。 うまく乗れてシェイクダウンの最速につけたことに自分でも驚いたのか、あるいはあくまで想定範囲内だったのか。そう質問すると、「正直なところ、目標のようなものはべつに何も立てていなかった」という落ち着いた言葉が返ってきた。 「KTMとGASGASは、僕がバイクを理解して旋回のしかたやいろんなことを学ぶのにとても力になってくれた。これはあくまでも普通の学習曲線だと思う」 中小排気量時代でも地に足のついた受け答えで聡明さを感じさせたが、最高峰クラスに昇格しても浮わついたところがまったくない様子が印象的だった。 余談になるが、アコスタからこの言葉を聴いたとき、将棋の藤井聡太八冠が17歳だった頃に「今は勝敗が偏っている時期で、いずれ平均への回帰が起こると思います」と述べた冷静さに通じるようなものも感じた。