リリー・フランキー、コロナ禍で日英合作の映画づくり「人生にとって重要な経験」
リリー・フランキー主演、錦戸亮、木村多江、高梨臨が共演し、パトリック・ディキンソンが監督を務めた日英合作映画『コットンテール』(3月1日公開)の制作にあたり敢行された、イギリスロケのメイキング映像が解禁となった。 【動画】『コットンテール』メイキング映像 撮影が行われたのは、渡英のためには隔離が必要だったコロナ禍の2021年。イギリスで最も風光明媚なリゾート地でとして名高い、イングランド北西部に広がる湖水地方ウィンダミア湖周辺。美しく開放感のある景色を背景に、主人公・兼三郎を演じたリリー・フランキーは「国の中でも意見が違っていたり、分断されているような空気の中で、イギリスのスタッフと一つのものを作っていると、世界はつながっているなと感じさせてくれる撮影で、人間的に成長させてくれた。遠く離れていても人は皆同じことを考え、真剣に仕事をしているということを見ることができて、人生にとって重要な経験となった」と語っている。 錦戸は「お芝居から遠ざかっていたので、台本を読んでどんな映画になるんだろうと思いました。家族の物語でもあるから、やってみたいなと思った」と、撮影当時、久しぶりに演技の仕事を選んだ理由を明かしている。 世界的巨匠、アッバス・キアロスタミ作品への出演経験もある高梨は、パトリック監督の現場について「日本ではみんながそろってからお芝居をするのが普通なのですが、役者と監督で芝居を作ってからスタッフさんに見せるのが新鮮でした」と、撮影スタイルとの違いに驚きつつも、楽しんでいる様子を見せる。 また本作には、近年では『ベルファスト』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたイギリスを代表する名優、キアラン・ファインズも出演。初共演となる娘で、同じく俳優でもあるイーファ・ハインズと共に、本作の魅力を語っている。メイキングの最後ではリリーが「みんなが小さなことでもすごく大切に描こうと言って、話し合って何回もやり直してセッションしている。ものづくりとはこうあるべきだなと、思い出しました」と、自身もクリエイターであるリリーらしい感想を述べている。 物語は、長年人生を共に歩んできた妻・明子(木村多江)に先立たれた兼三郎が、明子の「イギリスのウィンダミア湖に遺灰を撒いてほしい」という最後の願いを叶えるため、長らく疎遠だった息子の慧(錦戸)とその妻・さつき(高梨)たちとイギリスへと旅立つ。しかし、互いに長年のわだかまりを抱えた兼三郎と慧はことあるごとに衝突してしまい…。やがて、人生の最も大切なことと向き合っていく。 監督のパトリック・ディキンソンは、自身の母親を看取った経験を元に書き上げた脚本を映画化した本作で、長編監督デビューを飾り、昨年開催された「第18回ローマ国際映画祭」では最優秀初長編作品賞を受賞。学生時代にオックスフォード大学と早稲田大学で日本映画を学び、日本にも非常に造詣が深い。