配信で観られる「国際女性デーのための5作」をプロが厳選!さまざまな女性像から知る、今の時代のフェミニズム
世界的な#Metooの流れを受けて、すっかり定着した3月8日の国際女性デー。「私はフェミニストというわけではないけれど」と言う人でも、もし女性として様々な苦労や忌々しさを経験したことがあるなら、この機会に社会と女性の関わりに思いを馳せてみるのもいいのでは? 「何かを飲み込む行為」が意味するものは…?映画『スワロウ』ほか、映画ライター推薦の全5作をチェックする 劇場で見逃した映画や、配信のみのために作られた作品まで、無数の作品がある配信では、今日見る1本を選ぶのはなかなか難しいもの。今回は3月8日の国際女性デーに合わせて、女性が元気になれる映画&ドラマを配信作品からピックアップ。ヒロインたちの強さ、かっこよさ、そして弱さもまたフェミニズムであることを、きっと知ってもらえるはず!
『クイーンズ・ギャンビット』
唯一の肉親だった母親を失い9歳で施設に入ったベスは、用務員シェイベルからチェスを学び、天才的な才能を開花させてゆく。12歳で彼女を引き取った養父母が離婚、養母アルマと二人きりになった彼女はチェスの大会で賞金を稼ぐように。20歳を前に前にアメリカ中にその名を轟かせる存在となり、ついには世界チャンピオンであるボルコフに挑むが……。 社会が「恵まれない環境にある少女」に仕掛ける様々な罠を先読みし、時に人身を巧妙に操りながら、自身が選んだ道を突き進む姿はまさにチェスそのもの。その背景にあるのは、溢れる才能を持ちながら罠にハマってしまった母親の人生があります。
チェスの世界は今も極端な男性偏重ですが、ドラマの舞台となった1950~1960年代はそれ以上。どの大会に行っても「何しに来たの、世間知らずのお嬢ちゃん」と鼻で笑われ、「女がやるものじゃない」「女は感情的」「女は弱い」「女なのにすごい」という言葉を浴び続ける彼女が、敵を次々と冷酷なまでに叩き潰す様はめちゃめちゃ痛快です。このドラマで一躍スターとなった主演アニャ・テイラー・ジョイが、敵を見据えて圧倒する女王然とした眼力も印象的です。
『ドント・ウォーリー・ダーリン』
砂漠の真ん中にある整然とした住宅街に、立ち並ぶのはプール付きの邸宅。カラフルなクラシックカーで出勤の夫たちを、キスで送り出す華やかな妻たち。インテリアをピカピカに磨き上げ、ディナーを入念に仕込み、バレエで美しさを保ち……同じ会社で働く人々のコミュニティ「ビクトリアシティ」で、愛する夫ジャックと絵に書いたような幸福の日々を送る主婦アリス。 そんなある日、「ここにいてはダメ」と言う言葉を残して自殺した隣人の妻マーガレットの遺体が何者かに回収され、事件がなかったことにされるのを目撃。奇妙なフラッシュバックとともに、街に違和感を覚え始めた彼女は、「行ってはいけない」と言われる場所に足を踏み入れ……。 映画が描く世界はファッションからインテリアからめちゃめちゃおしゃれで、まさにこれは理想の幸せ! と言う感じなのですが、後半にじわじわと見えてくるこの街の秘密ーーーミソジニー溢れる「物事のあるべき姿」「生物学的な運命」などの言葉や、理想の夫の正体に戦慄します。