「ホスピス住宅」で暮らす末期がんの男性 「出生数最少」と「多死社会」誰がどこで看取るのか
2023年の出生数が75万8600人あまりと、過去最少を更新しました。一方、おととし、国内で亡くなった人は、過去最多の156万人あまりとなりました。厚生労働省は、医療機関の人手不足などにより終末期のケアが受けられない「看取り難民」が2030年には47万人に上ると推計しています。人生の最期を住み慣れた地域で自分らしく迎えるために、どんな施策が求められているのでしょうか。 【写真で見る】人生の最期を住み慣れた地域で自分らしく迎える
医療や看護を受けながら日常を大切に過ごす
79歳の阿部猛さん。去年、末期の前立腺がんと診断され骨にも転移していることが分かりました。 阿部猛さん(79) 「2か月で22~23キロ痩せてガリガリになって」 阿部さんは、福岡市内で一人で暮らしていましたが、1か月前から市内のホスピス住宅「ビーズの家」で暮らしています。ここは、末期がんなどで終末期を迎えた人たちが、医療的処置や看護を受けながら残された日々を過ごす民間の有料老人ホームです。この施設では食べたいものを食べたい時に食べ、出かけたい時に出かけ、会いたい人に会いたい時に会う、それぞれの当たり前の日常を大切にし続けることを目指しています。月額料金は、「居住費や管理費、食費」として約13万円、これに医療費や介護保険サービスにかかる費用がかかるしくみです。
24時間対応の訪問看護・介護を併設
ビーズの家を運営する(株)beads 代表 山崎大輔さん 「IT機器をしっかり活用して、介護ベッドには排尿排泄をにおいで検知するセンサーマットがついていたり、心拍・呼吸・離床が分かるセンサーをベッドに内蔵したりしています。例えば呼吸が急におかしくなったりおむつがいっぱいになったりということがあればスタッフに連絡がいくようになっています。自由度・プライバシーを担保する工夫をしています」 施設には、24時間対応の訪問看護・訪問介護ステーションが併設されていて、入居者が食事を作ったり洗濯をしたりする場所も用意されています。阿部さんは、ひとり暮らしをしていた頃と同じように自分で洗濯をするなどして好きなタバコやお酒を楽しみながら暮らしています。 阿部猛さん 「最高ですね。人間味のあるあたたかい気持ちが通じますね、みなさんね。スタッフが元気そうな姿を見るのが嬉しいし楽しい」