仲村トオルと共演した福井俊太郎(GAG)「一緒に高みに連れて行ってもらうような感覚でした」<飯を喰らひて華と告ぐ>
仲村トオルが主演を務める、足立和平原作の異色のグルメ漫画を実写ドラマ化した「飯を喰らひて華と告ぐ」(毎週火曜夜11:45~、TOKYO MX)が放送中。料理の腕は超一流だが、お客さんの悩みを勝手に勘違いして見当違いなアドバイスを繰り広げる、ズレた料理店主を描いた1話12分の本ドラマが注目されている。この話題作の第8話にゲスト出演するお笑いトリオ・GAGのメンバー、福井俊太郎が仲村との共演の思い出や本ドラマの見どころ、人気の秘訣などを語ってくれた。 【写真】福井俊太郎、ネタ作りのこだわり語る ■「ダントツでかっこよかった」仲村のオーラ ――キャスト発表の際に大きな反響がありましたが、どう感じられましたか? 主演の仲村トオルさんとともにゲストの方が一度に大勢載っているビジュアルを見たときは、パンチが効いてるなと思いました。そんなそうそうたる出演者の方々のなかに自分がいて、不思議な感じでした。ちょうど僕の上にきたろうさんが配置されている形でしたが、僕にとっては「シティボーイズ」という同じトリオでコントをされてる雲の上の存在の方なので、本当に嬉しかったですね。 ――仲村さんの店主役はいかがでしたか? 僕は原作を先に読んでいたんですが、イメージにぴったりだと思いました!中身は違いますけど(笑)、見た目がかっこいいじゃないですか。人生経験豊富そうな感じもあって。実際にお会いしたときも僕より先輩の男性のなかでダントツにかっこよかったという印象です。オーラもすごかったです…。 僕の出演回は山で撮影したのですが、もしもあそこに熊が出現しても、みんな熊じゃなくて仲村さんを見るんじゃないでしょうか。そのくらい存在感がすごかったです。 ――仲村さんと共演された感想を教えてください。 撮影の前、テントのなかでスタンバイしているときに仲村さんの隣に座らせてもらっていたのですが、その状況がすでに夢のようで。しかも仲村さんから話しかけていただいて、最初のほうは話が頭に入ってこないくらいに緊張してしまいました(笑)。普段は吉本の劇場に出演されてるんですかというような話を振ってくださって、めちゃくちゃ優しかったです。 ――実際に仲村さんと演じられていかがでしたか? 出演のお話をいただいたときは勝手に「気軽な役なのかな」と思っていたのですが、まさか仲村さんとサシでお芝居させていただけるとは思っていなくて。でも迫力に飲み込まれるというよりは、一緒に高みに連れて行ってもらうというような感覚でした。 ■店主がピュアだから自分も頑張ってみようかなという気になってくる ――劇中では、仲村さんがかっこいいまま明後日の方向に勘違いしているのがたまらなく面白く感じました。 いや、ほんと面白いですよね。先日放送された3話の「カツカレー」では、吉村界人さんが演じられてるラッパーを予備校の講師と勘違いしていて…ああいう個性の強い予備校講師って意外といそうですよね。あるあるネタとしても面白いし、脚本がすごくよくできているんだなと思いました。僕はお笑い芸人なので、その目線で見ちゃいますけど、やっぱりしっかり面白い。 ――福井さんが演じられた“悩みを抱えたサラリーマン・島田”と店主のやり取りもユニークですよね。 店主が純粋に勘違いしているのが面白いし、店主がピュアだから「自分ももうちょっと頑張ってみようかな」という気になってくるように思います。“思わされている”感じがしないというか、純粋さがこの店主の魅力だと思いました。だから島田も自発的に前向きな気持ちになれるのではないでしょうか。店主によって救われた面もあるんじゃないかと思います。 やっぱり人に仕向けられるよりも、自分から出てきた思いは“強い”と思います。店主がピュアだから、受け答えしているほうも自然と背中を押されて、素直に前向きになれるのだと思います。 ――このドラマがとても評判が良く、口コミで人気が広がっている秘訣もそこにあるように思います。 お笑いとしてしっかり面白くて、さらに短い時間でちょっと心も揺さぶられるというか…見たあとに「自分も頑張ろうかな」と前向きになれる感じがしますよね。そして美味しそうなご飯も出てくる。 ――飯テロドラマとしての良さもありますね。 食欲って大事なことですからね。僕の回のパエリアは本当に美味しかったです。見た目重視なのかと思ってたんですが、実際に美味しくて!このドラマに出てくる料理はたぶん全部美味しいと思います。 ■ネタ作りに必要な基準 ――同ドラマの特徴に、1話12分という短さもあります。 あんな短い時間にすごく詰まっていて、凝縮されていますよね。「面白いからちょっと見てみてよ」と人に勧めやすい短さだし、YouTubeや動画に慣れてるいまの時代に合っていると感じます。 ――福井さんの本業のコントと通じるものはあるでしょうか? 脚本自体の面白さは大前提として、やっぱり仲村さんが演じられることによってさらに面白みが増していると感じましたね。演技はとても大事なんだなと痛感しました。 ――福井さんはネタも書いてられますが、ネタ作りで重視していることはなんですか? うーん…「自分が笑えるかどうか」というところですね。自分が作ったネタを僕じゃない人がやっていたとして、「それを僕が見て笑えるか」という基準を1番大事に思っています。基準が自分だけになってしまうんですけどね。 普段心がけるというか気にしているのは、人間観察…と言うとかっこ良すぎるんですけど、日常のなかにある人間の心の機微を見つけることですかね。かわいそう過ぎるのは嫌なんですけど、人のちょっと情けない場面が笑える、というようなことが好きです。 ――最後にドラマを見る方にメッセージをお願いします。 ちょっと日々に疲れたり、しんどかったりするときに、12分のこのドラマを見ていただければ。元気になって、食欲が湧いて、それでご飯を食べてまた元気になれると思います。元気が欲しいときに見てもらえると嬉しいです。前向きな気持ちになってもらえると思います。 ◆取材・文・撮影=入江奈々