<バスケットボール>チーム消滅の危機から復活 旋風を巻き起こす和歌山トライアンズ
試合中、選手に負けないくらい走り回って撮影しているのは谷口祐太さん。「カメラが好きで趣味で勉強していたけど、これまでは自己満足でした。でも色んな人に見てもらえる。今までの試合を頭に入れて、どんな写真が必要か考えながら撮るようになりました」。 社長にはプロ野球の千葉ロッテマリーンズや埼玉西武ライオンズで営業部門のシニアディレクターを務めたことのある古川靖章氏を迎えた。就任時、「1年目から黒字経営、3年以内にリーグ優勝を目指す」とぶち上げた。チームは優勝争いのまっただ中。しかし、現在のところ、「優勝」より、「経営面」のほうが苦戦を強いられているという。 経営面で想定通りいかないのは、スポンサーと観客動員。特に観客動員に関しては「まずは(バスケットボールを)観て、魅力を知ってほしいんです」と企画広報部長の森太郎さん。しかし、「0から1が一番難しい。知らない人にどうやって足を運んでもらうか」と試行錯誤の日々は続く。ボランティアの手も借りながら、県内各所にポスターを貼ったり、チラシを配ったり。学生の招待や有名ゲストを会場へ呼んで盛り上げるなど、様々な集客方法を試みている。 苦悩の日々が続く森さんだが、最も望みを懸けているのが優勝だ。初年度優勝となれば注目が集まる。「なんとか優勝を起爆剤にしたいですね」と、好調のチームを追い風に観客動員増を期待している。 レギュラーシーズンは残り4試合。26節をアウェイ(神戸)で戦ったあとの最終節2試合は、ホームに首位のアイシンシーホース三河を迎えての直接対決となる。この試合、先日引退を発表したキャプテン・永山誠選手のホームラストゲームでもある。14年間、男子バスケットボール界を牽引してきた「ミスタートライアンズ」も、シーズン優勝となると経験がなく永山選手にとっても悲願となる。 チーム解体の危機を乗り越え、地元のサポートやボランティアの人たちの力を借り、一回りたくましくなったトライアンズ。決戦は26、27日、ノーリツアリーナ和歌山で行われる。 (取材・文/土井麻由実)