タテジマの誇り「東海大系」3監督は全員相模OB 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の組み合わせ抽選会が23日、オンラインで行われ、1回戦で東海大相模(神奈川、2年連続12回目)と東海大甲府(山梨、5年ぶり6回目)の「東海大対決」がセンバツで初めて実現した。東海大菅生(東京、6年ぶり4回目)も合わせ、今大会には東海大系列のチームが史上最多の3校出場。いずれも監督が相模OBと、互いの縁も深い。 【祝センバツ切符】32校喜びの瞬間を写真で 甲府と相模は、昨秋の関東大会2回戦以来の再戦となる。当時は甲府が相模の注目左腕・石田隼都(2年)を九回に攻略し、サヨナラ勝ち。相模の大塚瑠晏(るあん)主将(2年)は「リベンジしたい。目標は日本一なので」と高みを見据える。甲府の三浦諒太主将(2年)も「秋は石田投手に5安打に抑えられた。挑戦者のつもりで戦いたい」と気を引き締める。相模の門馬敬治監督(51)は、甲府の村中秀人監督(62)が相模監督時代にコーチを務め、1999年から指揮を引き継いだ間柄だ。 これまでセンバツには計11校の東海大系列校が出場しているが、第89回(2017年)大会の東海大市原望洋(千葉)と東海大福岡のように同時出場は2校が最多だった。さらに甲子園での東海大系列校の対決となると、83年夏1回戦の東海大一(現東海大静岡翔洋)―東海大二(現東海大熊本星翔)の1回のみで、春のセンバツでは初めてだ。 出場3校はいずれも校名に「東海大」が付くが、成り立ちはそれぞれ異なる。学校法人東海大学が直接運営する相模は付属校で、もともと別の学校が前身の甲府は連携校、菅生は提携校。ちなみに「東海大と経営的な関係性が深くなった」(同大法人本部)という甲府は正式名称に「付属」が付くが、菅生には付かないといった微妙な違いもある。 相模と甲府の「東海大対決」に話題が集まるが、1回戦で聖カタリナ(愛媛)と対戦する菅生の若林弘泰監督(54)も甲子園での「きょうだい対決」に並々ならぬ思いを抱えている。甲子園で春夏2回ずつの優勝、通算勝利も計42勝と実績でも勝る母校に対抗心をむき出しにし、「相模が(東海大系列の)『本流』だと思われているけど、ウチ(菅生)がそうなるんだという気概でやらないとダメですね」。そんな言葉の裏には、チーム作りへの自信とセンバツ初勝利にとどまらない野心がのぞく。 菅生では、中学時代にそろってU15(15歳以下)日本代表に選出された左腕の本田峻也(2年)、捕手の福原聖矢(1年)のバッテリーが順調に成長。三塁手の小池祐吏(ゆうり、1年)は横浜(神奈川)で1998年に甲子園春夏連覇を果たした正晃さん(現プロ野球・DeNAコーチ)を父に持ち、昨秋から定着した5番で公式戦8試合で12打点と勝負強さを印象づけた。本田、福原らは昨夏の西東京独自大会、その後の東西対抗戦で優勝を経験。昨秋は関東一、日大三ら強敵を破って公式戦無敗で終えた。 投手として相模から東海大、社会人の日立製作所を経てプロ野球・中日でプレーした若林監督は就任13年目。「目標は日本一だが、まずは日ごろの生活をしっかりするように」と選手たちに言い聞かせる。父が通った横浜や相模への進学も検討したという小池は、「人間的にも成長できる」と菅生での寮生活を選んだ。好選手がそろい、結果も出しつつある現状に若林監督も「甲子園に出ればいいというチームではない」と気を引き締める。 3校ともタテジマ柄のユニホームで、胸には同じ「Tokai」の文字。多少色味が違うとはいえ、見た目はほぼ同じ。相模と甲府の勝者、そして別ブロックの菅生が勝ち上がった場合、準決勝で再び「東海大対決」が実現する可能性もあり、タテジマのプライドのぶつかり合いに注目だ。【岩壁峻】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。