50代で結婚できるか不安な男性に、鈴木涼美が問う 「金目当て」なんていうくだらない毛嫌いをせずに女を愛せるか?
作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日は特別に、悩めるオトコにお越しいただきました。 【写真】“教師姿”でにっこりの鈴木さん Q. 【vol.13】年齢的に結婚できるか不安なワタシ(50代男性/ハンドルネーム「ゴリ衛門」) この年で結婚したいのですが、もう無理でしょうか? A. 女が何目当てでも耐えられますか。 私の父は七十歳手前で再婚しましたし、私は四十歳になってから初めて結婚しましたから、年齢によって可か不可かということはないと個人的には思います。まして男性は女性と違って生殖機能がなくなるわけではないし、男性に比べれば女性は恋愛や結婚相手の年齢にシビアではない場合も多いのではないでしょうか。「若い子じゃなきゃいやだ」という信仰は男性の一部には根強いですが、女性でそのようなこだわりを持っているのはごく稀ですし、なんだかんだ年上が好きという人が多い気がします。 女はもっと早くに、たとえばかつてのAV業界や水商売の業界では二十五歳や三十歳から、年齢差別を受け、勝手に値付けを落とされるようなことを経験しがちですが、男は四十を過ぎて本格的にモテだしたという話だってよく聞きます。かつて結婚は女のカオと男のカネの交換と言われていましたが、カオは年齢である程度の劣化は避けられませんから若い方に軍配が上がる気がする一方、カネはどう考えても年齢を重ねるほど有利です。今は女性の方が高収入のカップルも少なくないですが、人の思い込みというのはそう簡単に覆るものではないですし、そういう意味でも男性が年齢で恋愛や結婚にそれほど卑屈になる必要はないわけです。
■自分の強みを帳消しにする人 個人的に、ある程度年齢を重ねて恋愛や結婚に苦労している男性には、「〇〇を評価されたい」「●●でモテても嬉しくない」「〇〇に寄ってくる女は嫌だ」「●●目当てな気がして怖い」というくだらないこだわりによって自分の強みを帳消しにしている人が多い気がします。お金や肩書ではなくて俺自身を評価してほしい、とか、医者っていうだけで目の色を変える奴じゃなくて僕の本質を理解している女がいい、とか、俺が有名だから寄ってくる女には興味がないから俺のことを知らない人と一から愛を育てたい、とか。 そういう人には心から、「お前自身って何だよ? 顔か? 男性自身つまり性器のことか? それとも魂とかそういうスピってる話?」と思ってしまいます。そんなこだわりに時間を割くくらいなら、自分のどういうところを好きな相手か、ということより、自分が相手のどんなところを好きかについて深く考えればいいのに。 私も二十代の頃、「お前は俺がカローラに乗って西葛西に住んでいたら付き合ってなかっただろ」と理不尽な責められかたをしたことがあります。彼がどんないかした外車に乗ってどんなお洒落なマンションに住んでいたかなんて覚えていませんが、そんなことを言ってくるくらいだからきっと高級車に乗っていることと白金だか麻布だかに住んでいることくらいしか自信のないオトコだったのでしょう。 【こちらも話題】 過去の中絶に苦しむ30代女性に、同じ中絶経験者の鈴木涼美が説く「後悔を身体に巻き付けた」人生の処し方 https://dot.asahi.com/articles/-/216990