「強すぎて怖い…」『ガンダム』主人公のライバルが圧倒した「驚異の単騎無双」シーン
■離脱する友軍艦を守るため、その身を捨てて戦った漢
OVA『機動戦士ガンダム第08MS小隊』の第10話「震える山(前編)」では、ジオン公国軍のエース「ノリス・パッカード」による圧巻の無双シーンが描かれた。 地球連邦軍の猛攻が続くなか、多くの負傷兵を載せたザンジバル級機動巡洋艦「ケルゲレン」が地球からの離脱を間近に控えていた。このケルゲレンの地球脱出を誰より願っていたのが、ジオンの名門サハリン家の娘アイナ・サハリンである。 アイナにとって親同然のノリスは、彼女の願いを叶えるために単騎出撃を決意。この状況下での出撃は、離脱する味方との合流がほぼ不可能になることを意味していた。 まさに命がけの出撃を決断したノリスは、愛機「グフ・カスタム」を駆って地下エレベーターから飛び出すと、瞬時に周囲の連邦軍の戦力を分析。そこには主人公「シロー・アマダ」の部隊が配置されており、「量産型ガンタンク」3機とその護衛のための「ガンダムEz8」、さらに「陸戦型ガンダム」2機が待ち構えていた。 陸戦型ガンダムに乗る「カレン・ジョシュワ」は、「たった1機で? ふん、なめられたもんだ」と言い放つが、その言葉が間違いだったことを痛感することになる。 ノリスは、まず離脱するケルゲレンの障害になりそうな長距離砲撃用のガンタンクに狙いを定めると、ヒートワイヤーを用いた立体的な機動でタンクの真上をとって撃破。 さらにグフ・カスタムのガトリング斉射で砂埃をたてて煙幕がわりにして急接近すると、ヒートサーベルで、もう1機のガンタンクのコクピットを貫く。 さらにノリスは、ガンダムEz8でシローが護衛していた最後のガンタンクも、コクピットを斬り裂かれながらも撃破。結果的に3機のガンダムが護衛していたすべてのガンタンクを、単騎で全滅させるという離れ業を成し遂げた。
■その強さに誰もが恐怖した“ラスボスガンダム”
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』の主人公「キラ・ヤマト」たちの敵であり、本作の黒幕だった「ラウ・ル・クルーゼ」が搭乗した試作モビルスーツ「プロヴィデンスガンダム」の無双シーンも印象深い。 プロヴィデンスガンダムの最大の特徴は、『SEED』の世界におけるファンネルのような無線誘導式のビーム砲台「ドラグーン」を多数装備していることだ。 高い空間認識能力を持つクルーゼはドラグーンを完全に使いこなし、オールレンジ攻撃によって量産型モビルスーツ「ストライクダガー」を複数体同時に撃破する。 続いてライバルの「ムウ・ラ・フラガ」が乗る「エールストライクガンダム」や、「ディアッカ・エルスマン」の乗る「バスターガンダム」と交戦。いわば歴戦のエースが乗った両機も、ドラグーンを駆使して一方的に退けていった。 そしてクルーゼとプロヴィデンスは、そのまま主人公のキラ・ヤマトが乗る「フリーダムガンダム」との最終決戦に突入。無敵にも思えたフリーダムと支援メカ「ミーティア」すら一方的に破壊していく。 最終的にプロヴィデンスは、キラの決死の突撃でコクピットを貫かれて機能を停止したが、ほとんど相打ちというかたちでしか止められないほど、圧巻のパフォーマンスをみせた。 『SEED』の世界には遺伝子操作されて生まれた「コーディネーター」と、そうではない通常の人間「ナチュラル」が存在する。クルーゼはナチュラルでありながら、「最高のコーディネーター」と呼ばれたキラをここまで追いつめたことに、恐ろしさを感じた視聴者も多いのではないだろうか。 主人公ではなく、そのライバルたちによる「無双シーン」を振り返った。このような圧巻の強さを示すシーンがあるからこそ、主人公たちが勝利する展開に最高のカタルシスが生まれるのだろう。
クロハチ