今50歳です。老後用の貯金が1000万円しかありません。老後資金を追加で1000万円増やすことって可能でしょうか?
老後の生活に不安を覚える方は多いのではないでしょうか。「今50歳だけど、老後資金が心配」という方も、中にはいらっしゃることでしょう。 本記事では老後資金をテーマに、50歳の方が老後を迎えるまでに老後資金を1000万円増やすことが可能かどうかについて、解説します。なお、本記事では、老後を迎える年齢を65歳と仮定します。
単純に積み立てる場合は毎年約67万円の積み立てが必要
50歳から65歳までの15年間で老後資金1000万円を貯めるには、単純計算で1年当たり約66万7000円(1月当たり約5万5600円)を貯める必要があります。毎年(あるいは毎月)、この金額を貯めることができるのであれば、15年間で1000万円貯めることは可能です。 この金額を貯めることが難しいのであれば、「お金を増やす」ということを考えなければなりません。資産運用をするということです。当然、資産運用にはリスクがあり、資産が増える可能性もあれば、減る可能性もあります。15年で1000万円を貯めるための選択肢は、以下の2つといえます。 ●(1)リスクがほぼ無い(元本保証型)金融商品で積み立てる ●(2)リスクがある金融商品で積み立てる (1)のケースにおける代表的な金融商品は、預貯金です。先述の「毎年約66万7000円を貯めていけば15年後に1000万円貯まる」というのは、こちらのケースです。 一方、(2)のケースにおける代表的な金融商品は、投資信託です。「この場合に、毎年いくら積み立てていけば良いのか」については後述します。
リスクを背負うと毎年の積立額は少なくて済むが注意が必要
15年後までに1000万円を貯めるため、毎年、資産運用しながら積み立てるとして、押さえるべきポイントは以下の2点です。 ●(1)複利運用すること ●(2)どれくらいの利回り(年利率)を想定するか(どれくらいのリスクを取るか) 複利運用とは、元本(投資資金)から生じた利息(利益)を翌年の元本に加える(再投資する)という運用方法です。 利息が利息を生むため、運用成果が雪だるま式に増えることが期待できます。複利運用の効果は、運用期間が長ければ長いほど、大きなものとなります。 問題は、どれくらいの運用成績を目指すかということです。想定する利回りを高くすればするほど、毎年の投資額は少なくて済みます。 しかし、それだけリスクを背負うことにもなります。投資目的が老後資金であるため、大きなリスクを背負うのは避けたいものです。本記事では、年利率1~2%を想定することにします。 例えば、15年後に1000万円を貯めるために、年利率1%で複利運用しながら積み立てた場合の毎年の積立額は、以下のように計算します。なお、このような場合、「減債基金係数」という係数を用いて計算します(減債基金係数の詳細については省略します)。 ・1000万円× 0.0621 = 62万1000円 これを年利率2%に置き換えた場合、以下のようになります。 ・1000万円× 0.0578 = 57万8000円 このように計算すると、リスクがほぼ無い金融商品で積み立てた場合と比べ、毎年の積立額が少なくなることが分かります。ただし、これはあくまで計算上のことであり、15年後までに1000万円を貯められない可能性もあるという点は、ご留意ください。 ちなみに、上記計算においては、運用益に係る税金を考慮しておりません。資産運用による積み立てを検討される場合は、「個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)」や「新NISA(ニーサ)」などの税制優遇制度の利用も、併せて検討されるとよいでしょう。