女性の視点からリスクを考える!災害時の女性被害、私たちが知っておきたいこと
ボランティアとして災害にかかわるとき
▼被災者に寄り添う 過去の災害からわかったことは、特に女性や高齢者は避難所で困っていることや必要なものをなかなか口にできないということ。たとえ必要なものが用意されていたとしても、それが生理用ナプキン、ショーツ、おりものシートなどの場合、公の場で取りに行くのに抵抗を感じる人もいる。 私たちがボランティアとして携わるときは、ボランティアチームと相談しながら、配布する場所や時期などに女性の視点を入れながら工夫したい。例えば、女性だけが集まるスペースをつくってそこで配布したり、同じ女性のボランティアが配布したり、配布物資の中身が見えないようにしたりすることで、受け取る側のストレスや不安を軽減できる。 避難所での女性のプライバシーの確保も大切。女性が着替えたり、授乳するスペースが確保されていないと、人目が気になってしまうだけでなく、ジェンダーに基づく暴力にもつながりかねない。特に避難所で子どもの健康や安全を守るだけでも大変な母親にとっては、さらなるストレスや不安がのしかかることに。女性だけがアクセスできるスペースの確保は心の健康のためにも必要だ。 もちろん、こうしたすべてのことをボランティアができるわけではない。だけど、被災した女性たちが感じる不安やリスクを事前に理解し、共感できる人がボランティアにいることは、被災した女性たちの心の支えになるはず。彼女たちに寄り添ったコミュニケーションがとれれば、優先順位が高くないからと我慢しがちな自分たちのニーズを、ボランティアの私たちには打ち明けてくれるかもしれない。
みんなが自分らしく助けあえるように
▼男性、セクシュアルマイノリティへのリスクも見過ごさないで たとえ被災地であっても、女性だけでなく、男性、そしてセクシュアルマイノリティなど多様な性自認の人々、一人ひとりの尊厳が守られなくてはならない。そのために、ジェンダーに基づく暴力のリスクに晒されているのは女性だけではないことを理解したい。実際に東日本大震災の調査(2015)では、6~12才の男子が顔見知りの男性に下着を脱がされた経験があるなど、男性にもリスクがあることが浮き彫りに。本調査ではセクシュアルマイノリティの被害例については報告されなかったが、「報告がない=被害やリスクがない」と言い切れないことに注意したい。