根室の清隆寺本堂文化財登録 審議会が答申
国の文化審議会は15日、サクラの名所としても知られる北海道根室市の「清隆寺本堂」(松本町2)を、国の登録有形文化財(建造物)として登録するよう文部科学大臣に答申した。石垣雅敏市長は「大変喜ばしいことで、市民を挙げて大切にしていきたい」とのコメントを発表した。 真言宗智山派、護国山清隆寺が正式名称。本尊は不動明王で北海道三十三観音霊場22番札所。現在の清隆寺本堂は1925(大正14)年の建立で、生涯百カ寺を建立したといわれる気仙大工・花輪喜久蔵の設計。建築大工は梅内小一郎。 入(いり)母(も)屋(や)造りで、軒周りに秀逸な彫刻が施されている。仙台の宮彫師・上山寅正の手によるもので、特に正面の木彫りは横たわる龍、両横にボタンの花を唐獅子で抑えた豪華なものだ。 造営には、北方領土・国後島産の木材が使われていることも評価された点だとされ、同島から移植されたチシマザクラの名所であることもあり、石垣市長は「当市が北方領土との深いつながりの中で歴史を刻んできたことの証しであり、改めて領土返還への思いと、その魅力を広く発信していきたい」と述べている。 市内の国登録有形文化財は、日本資本主義の父・渋沢栄一ゆかりの明治公園赤レンガサイロ(3基、2001年登録)、根室国後間海底電信線陸揚げ施設(2021年)に続き、清隆寺本堂が3カ所目となる。 なおこの日は、全国121件の建造物を登録するよう答申しており、道内からは同寺本堂のみが選ばれている。
釧路新聞