見通し実現の確度に「自信」得られれば次のステップ=植田日銀総裁
Takahiko Wada [名古屋市 18日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は18日午後の記者会見で、経済・物価が足元で見通し通りに進捗し、2026年度までの見通し期間後半の見通しが実現する確度が「ある程度高まるという自信」が得られれば次のステップに移ると述べた。賃金や10月の東京都区部消費者物価指数(CPI)のサービス価格など、足元では「ある程度、良い方向でデータが少しずつ出ている」とする半面で、その他全体のデータ・情報も合わせた総合判断になると話した。 植田総裁は、経済・物価が「オントラック」(軌道に乗っている)であれば毎回利上げしていくということではないと指摘。「(利上げを決めた)7月の時点で見ていた姿に比べてどれくらいオントラックの度合いが上方修正されたか、毎回の決定会合で確認しながら進んでいく」とも述べた。 為替の動向については、7月初めに見られたようなポジションの一方向への偏りは見られないのではないか、と話した。為替円安の物価見通しなどへの影響については「各会合で点検していきたい」と述べるにとどめた。 植田総裁は同日午前の金融経済懇談会でのあいさつで、実質金利がきわめて低い水準にあることを強調した。 会見では、低い実質金利がもたらす弊害について「どこかで基調的なインフレ率が2%を超えて加速してしまうリスク」を挙げ、その場合には利上げペースを思った以上に速めなければならないため、そうならないように適切に金融緩和度合いを調整していきたいと述べた。この点は「本質的に重要なもの」だと語った。 追加利上げしても実質金利は大幅なマイナス圏のままではないかとの質問に対しては「インフレ期待がある程度上がりつつあるときに少し利上げした場合には実質金利はほとんど上がらない可能性もある」と話す一方で、実質金利の水準の評価は中立金利を実質で見た場合にどれくらいなのかとの観点が重要になるとの見方を示した。