独立リーグ入りM・ラミレスの米殿堂入りネックは薬物使用の過去
一つ目は、投票資格を持つ記者の年齢層が若くなってきており、若い記者は薬物使用の過去を考慮する度合いが低いようだということ。二つ目は、バド・セリグ前コミッショナーが、昨年12月のベテランズ委員会の投票により、殿堂入りを果たしたことだ。 セリグ前コミッショナーには、球界に薬物が蔓延するのを見過ごしてきたという批判もある。クレメンスやボンズが最も活躍していた時代には、メジャーリーグではステロイドなどの薬物を禁止する規則がなかったのだ。ニューヨークタイムズ紙の取材に、投票権を持つ記者はこのように答えている。 「あの時代の素晴らしい投手と、素晴らしい打者を殿堂に入れず、ステロイドと関係があった時代のコミッショナーや監督だけ殿堂入りするのは偽善行為のように感じる」と。薬物問題を見逃していたコミッショナーが殿堂入りしたのだから、クレメンスやボンズも入れるべきではないかという論法である。 ただ、マニー・ラミレスへの追い風の恩恵はあまりない。前述したようにクレメンスとボンズは、メジャーリーグに薬物を禁止するルールがなかった時代で、薬物使用による処分も受けていない。一方のラミレスは、メジャーリーグ機構がステロイドをはじめとする禁止薬物の追放に積極的に乗り出してルールを設けてから2度も違反をしているのだ。偉大なるメジャーリーガーの、まさかの日本の独立リーグ入りが全米でも話題になっているが、殿堂入りの勲章を胸にしての日本登場とまではいかなそうだ。