大爆死! 巨額赤字で総スカン…世紀の失敗映画(5)赤っ恥…! 50億円級の大コケ、罵倒・酷評続々で最低賞
今回は映画を大ヒットを企図して制作されたものの、大方の期待を裏切って大ハズレをかまし、巨額の赤字を生んだ作品をセレクト。人気ゲームの実写化や劇団四季でお馴染みの名作ミュージカルの映画化など、力を入れて作ったにもかかわらず、期待外れに終わった失敗作が勢ぞろい。映画史に名を残す赤っ恥映画を5本紹介する。今回は第5回。(文・寺島武志)
『キャッツ』(2019)
原題:Cats 製作国:イギリス・アメリカ合作 監督:トム・フーパー 原作・原案:T・S・エリオット アンドリュー・ロイド=ウェバー 脚本:トム・フーパー、リー・ホール キャスト:ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト 【作品内容】 人間にロンドンの路地裏で捨てられるも、したたかに生きる個性豊かな猫の集団「ジェリクルキャッツ」。彼らは年に一度、満月の夜に開かれる舞踏会に参加するため、集まってくる。新たな人生を生きる猫として選ばれるべく、猫たちは月夜の中、歌い踊る…。 【注目ポイント】 世界累計で8000万人以上の観客動員を誇り、日本でも劇団四季が上演しているミュージカルの映画化作品が同作。スティーブン・スピルバーグが製作総指揮に名を連ねていることから期待する声も多かったものの、フタを開けてみれば製作費1億ドルに対し、興行収入6600万ドルという大赤字を出した上、アカデミー賞と同時期に開催される、最低映画の祭典ラスベリー賞(ラジー賞)にノミネートされるなど、踏んだり蹴ったりの結果に終わった。 同作の評判としては、演者をCGで半人半猫の姿に描いていることで、その姿が、「気持ち悪い」「不気味」という声が続出したことにあるといえる。ミュージカルのように、舞台衣装として見せるのではなく、CGを駆使して“人間とネコの中間”を追求した結果、その“本気度”が完全に裏目に出た格好だ。 しかし、これらの問題は全て、原作たる舞台版を映画という媒体で忠実に再現しようとした結果。映画「キャッツ」は、ある程度映画向けに改変を入れているものの、かなり舞台版にリスペクトの気持ちを込めて作られている。歌で話が進まないのも原作通り。 また、映画化にあたって、ミュージカル版の展開や音楽など改変は最小限にとどめ、豪華な出演者たちと潤沢な予算、そして本気の演技を見せることによって、ミュージカル版にリスペクトの気持ちを込めて作られている。 問題は、ミュージカル版が「目の前で行われるパフォーマンス」として優れていた作品であったため、映画で再現した結果、かなりマニアックな作品に仕上がってしまったことが不運だったとしかいいようのない作品といえる。
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