日本橋三越本店で「AC部」個展 「自動漫画家」など新たな漫画表現に挑戦
「クリエイティブチームAC部」による新作個展「GIFTOOOON」が12月25日、日本橋三越本店本館6階コンテンポラリーギャラリーで始まった。(日本橋経済新聞) 【写真】日本橋三越本店で2年ぶりの展覧会 「AC部」は1999(平成11)年結成したクリエイティブチーム。四半世紀に活動わたるの中で「時を経ても新鮮かつ唯一無二な作風で視聴者に予期せぬ奇妙な感情を提供する」をコンセプトに、ミュージックビデオ、広告用アニメーションなどさまざまな媒体で斬新かつ実験的な作品を発表し続けてきた。近年はその活動が現代アートとして評価されている。 今回の個展ではアニメーションGIF表現「GIF マンガ」をモチーフとした作品群やインスタレーションなど61点を展示、販売する(一部非売)。漫画はAC部にとって主要な表現手段で、結成以来、独自の手法で表現の可能性を広げているという。AC部が開発した「高速紙芝居」や「GIFマンガ」などの作品群は、豊富なアイデアにより国内外で注目を集めており、近年では「月刊コロコロコミック」(小学館)で連載されている漫画「キャンバれ!郎太桃」により新たなフォロワーを獲得している。 会場で最初に目を引くのは、自動で漫画を描き続けるロボットのようなインスタレーション作品「自動漫画家」。市販のペンプロッター(出力装置)を使いAC部が制作した。AC部メンバーが実際に手描きしたペンの質感を『自動漫画家』がそのとおりに自動的に描き出すという。 制作を手がけた橋本麦さんによると、ペンプロッターはコンピューターが大きなメインフレームであった頃に使われていた機械で、印字されたときの粒子の感じはペンプロッターならではのものだという。橋本さんは、「今でこそラップトップ一台で映像など創れるが、1960年代ごろの黎明期のコンピューターを使ったアートは、ペンプロッターでしか出力できなかった。エラーが起きたりかすれたりするところがよい」と話す。高画質なインクジェットプリントを見慣れた現代人にとっては、白黒2階調の単調な出力作品がむしろ魅力的という。 会場では、パソコン普及初期のお絵かきソフトで描いたような絵を、あえて粒子の質感を丹念にキャンバスに手描きした作品やAC部の「映像作家」としての創作から生み出された映像作品も展示する。「自動漫画家」という機械が人間と同等の絵を出力する傍ら、古いコンピューターが描くような単調な2階調の手描き作品が同じ会場に並ぶ様は、まさしく「予期せぬ奇妙な感情の提供」で、頭を楽しく混乱させてくれる。 開催時間は10時~19時(12月31日、最終日は17時まで、1月2日は18時まで)。1月1日は休業。入場無料。1月6日まで。
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