「誰も見たことのない『広瀬すず』がここにいる」 中原中也、小林秀雄に愛された女優役『ゆきてかへらぬ』が来年2月公開決定
詩人・中原中也、評論家・小林秀雄、女優・長谷川泰子。大正時代を賑わせた三角関係と、彼らの壮絶な青春を描く広瀬すず主演『ゆきてかへらぬ』が、2025年2月に全国公開されることが決定した。 【写真】この記事の写真を見る(3枚)
京都で中原中也と出会い、東京で小林秀雄も加わり…
まだ芽の出ない女優・長谷川泰子(広瀬)は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也と京都で出逢う。どこか虚勢を張り合うふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。 その後東京に引っ越したふたりの元を、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせていく――。 『ゆきてかへらぬ』というタイトルは、病床の中原中也が小林秀雄に託し、中也の没後に刊行された詩集『在りし日の歌』に所収されている一篇の詩から採られた。
根岸吉太郎と田中陽造が16年ぶりにタッグ
本作の監督は、『遠雷』、『探偵物語』、『ウホッホ探検隊』などで知られる名匠、根岸吉太郎。 脚本は、鈴木清順監督の「浪漫三部作」(『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』、『夢二』)や『セーラー服と機関銃』など、数々の映画で異彩を放ち続けてきた田中陽造。 日本映画界を代表するふたりのタッグは、『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』以来、実に16年ぶり。根岸にとっても、16年ぶりの長編映画となった。 監督によると、田中による本作の脚本は、40年以上前に書かれたもので、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった、いわば「知る人ぞ知る」幻の脚本だったという。
監督絶賛「まるで泰子という主人公に憑依したかのよう」
そして、根岸は、「まるで泰子という主人公に憑依したかのようです。誰も見たことのない泰子の『広瀬すず』がここにいます」と主演の広瀬を絶賛。 広瀬は、女性/男性の枠を超え、互いをリスペクトしているからこそ生まれもする、軋轢と混乱を見事に表現。それと同時に、ふたりの天才の間で狂おしいまでに「生きる」様を赤裸々に演じ切り、新境地を拓いた。
広瀬すず「本当に体力のいる役でした」
1970年代から映画界をけん引してきた根岸、田中との協業は、広瀬にも大きな刺激になった様子。 「今回演じた長谷川泰子は、大正というモダンな時代を自由にというか、必死というのか、無謀に駆け抜けた女性でした。本当に体力のいる役でした。 根岸監督はこの作品が16年ぶりの長編映画と聞いておりましたが、それを感じさせない程、現場では監督の体力が一番すごかったですね。根岸監督の映画づくりというものを、この目で見て、体感して、とても贅沢でした。是非、ご期待ください」 とコメントを寄せた。
週刊文春CINEMAオンライン編集部/週刊文春CINEMA オンライン オリジナル