『虎に翼』菊地凛子と伊藤沙莉の思いが共鳴する 「モン・パパ」が包み込む“女子部”の現在
母親としての“手抜き”を宣言した花江(森田望智)
良い顔で笑う寅子の歌声をバックに並行して、眠りから覚めた香子(ハ・ヨンス)が、汐見(平埜生成)が持って帰ってきたおにぎりを頬張る姿が映し出される。その形を見てすぐに梅子(平岩紙)が握ったおにぎりだと香子は気がつき、頬に涙が伝う。同じ頃、よね(土居志央梨)や轟(戸塚純貴)も梅子からおにぎりを受け取っていた。そこに涼子(桜井ユキ)の姿はないものの、それぞれが自分の人生を生きる、女子部の面々を包み込むような対比が「モン・パパ」を通じて描かれているように感じられる。 そこに一緒に内包されているのが、花江(森田望智)だ。道男(和田庵)がやって来ると、直道(上川周作)が夢に出てきてくれる。「私には分かる。直道さんがずっとそばにいてくれてるって」と言う花江に、直道は「分かってくれているって、俺には分かってたよ」と答え、抱き合う2人。母親としての“手抜き”を宣言して、子供たちとみんなで助け合う幸せを目指すことにした花江にとっての幸せは、ほっと一息ついた時に、楽しそうに笑う家族を眺めること。彼女もまた自分が幸せになること、自分の人生を生きることを決めた一人だ。
渡辺彰浩