【明日の金ロー】シリーズを通じたテーマが分かりやすく提示された「ジュラシック・ワールド/炎の王国」
24日の金曜ロードショー(後9時)は、先週に続く「ジュラシック・ワールド」シリーズの第2弾。「ジュラシック・ワールド/炎の王国」(2018年)が、放送枠を20分拡大して登場する。 物語の舞台は前作から3年後。再び恐竜による惨劇に襲われ、廃虚となった「ジュラシック・ワールド」が残るイスラ・ヌラブル島は、火山活動が活発化していた。このままでは、人間に見捨てられ、自由きままに生きていた恐竜は、滅亡するしかないという状況に。人間の手で”復活”させた恐竜を救うべきか、それとも見捨てるべきか。世論は大きく割れていた。 そんな中、パークの運営責任者だったクレアは、島から恐竜を脱出させる計画を進めているロックウッド財団に呼び出され、協力を要請される。この話を受けたクレアは、パークで恐竜の調教をしていたオーウェンに助けを求め、共に島へと向かう。一方で、この計画の裏では、別の目的を持つ一味が怪しげな動きをしていた―。 1作目が大ヒットしたアクション映画の第2弾というのは、製作するのが難しい。見る側は前作以上のアクションを期待しており、それを満たさないといけない。その際に「分かりやすい」のが、敵を強くするか、もしくは戦い方を派手にするかということになってくる。今作ではその両方が採用されているが、この時に”危険”なのが、分かりやすさを追及するあまり、荒唐無稽さが出て来てしまうことだ。 もちろん、本シリーズは典型的な「ポップコーンムービー」であり、見る人の中に「派手だったら何でもいい」という層は一定以上いるだろう。ただ、あまりにもご都合主義だったりすると興ざめしてしまうところがある。本作でもクレアとオーウェンらを避けるようにして突進してくる恐竜、飛び交う火山弾を見ると「そんなわけないだろ」と思ってしまう人もいるのではないか(もっともそこを超越して、あまりにもバカバカしくて笑ってしまうような作品もあるが)。 というわけで、個人的にはアクションの部分は若干の「残念さ」を感じるのだが、一方で本作ならではの注目したい点もある。先週の当コラムでも書いたが、「ジュラシック・パーク」(1993年)の時から本シリーズには「人間は他の生物の生命や進化を操ってもいいのか?」というテーマが存在する。記者は、そのテーマに最も迫るのが本作ではないかと考えている。 クレアやオーウェンは、恐竜を意のままに操ろうとする敵側の人間に「(パークを運営してきた)君らだって、この世界に責任がある」と言われ、答えに詰まる。また物語の終盤では、2人がロックウッド財団の屋敷に住む謎の少女・メイジーが取るある行動をとがめられなくなってしまうシーンが出てくる。これらは非常に分かりやすくシリーズのテーマについて考えることができる場面だけに、ぜひ注目してもらいたい。(高柳 哲人)
報知新聞社