緑内障治療を受ける際の医院選びのポイントを眼科医が徹底解説 どこで治療しても同じ?
緑内障の治療法や受ける上での注意点
編集部: 緑内障の治療は、どのようにしておこなうのですか? 庄司先生: 基本的に、「薬物治療」「レーザー治療」「手術」という選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、例えば、薬物治療では長期にわたって毎日点眼をしなければなりませんし、レーザー治療や手術は治療によるリスクを伴います。また、レーザー治療や手術をしても眼圧再上昇のリスクもあります。 編集部: 治療では、どのような点に注意したらいいでしょうか? 庄司先生: それぞれの治療法に様々な選択肢があるため、適切に選ぶことが必要です。例えば、点眼薬では房水の生産を抑制したり排出を促進したりするものや、神経保護効果を期待するものなど様々です。場合によってはそれらを複数組み合わせることでより高い効果が期待できることもあるので、点眼薬の選択が重要になります。 編集部: 点眼薬は、どのようにして選択するのですか? 庄司先生: 緑内障の治療薬は点眼剤だけで約20種類存在しますが、それぞれの点眼薬に特徴があります。例を挙げると、全身的な副作用があったり、ほかの飲み薬との併用が禁止されていたりする点眼、充血やまぶたの周囲が荒れやすい点眼剤、点眼回数の少ない点眼剤などです。 編集部: 様々な種類があるのですね。 庄司先生: はい。実際には、患者さんの眼圧値、緑内障の状態とライフスタイルを加味した上で、最適と思われる点眼の組み合わせを提案します。また、実際に点眼した後も眼圧下降効果や副作用の発現具合をみながら、点眼の継続や変更・追加を判断していきます。 編集部: レーザー治療や手術でも選択肢が多いのですか? 庄司先生: はい。一口にレーザー治療といってもSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)やLPI(レーザー周辺虹彩切開術)など、いくつかの種類があります。緑内障は症状によって様々なタイプに分類されるため、タイプによって的確に治療法を選択しなければなりません。さらに、難症例にはインプラント手術(エクスプレス・プリザーフロ・アーメド・バルベルト)といったものもありますが、高度な医療技術を必要とするため、施設基準を満たしていることを厚生局に届け出る必要があり、おこなえる医療機関は限られています。そのため、緑内障の治療経験が豊富な医師や医療機関を選ぶことをおすすめします。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 庄司先生: 緑内障の治療を受ける際には、「緑内障の専門医と名乗っている医師」「緑内障の手術を多数している医師」を選ぶといいでしょう。また、日本緑内障学会評議員や診療ガイドラインの作成メンバーを選ぶのもおすすめです。緑内障診療ガイドラインは、誰でも無料で入手可能です。ただし、緑内障の治療が始まると、2カ月に1回の程度の通院が必要になります。通いやすさという観点から、通える範囲で探すこともポイントとなるでしょう。