小野花梨、晴天の霹靂だった日本アカデミー賞新人俳優賞。受賞の知らせも心当たりがなく「宛先間違えてますよ」
日本アカデミー賞で新人俳優賞に!
2022年、小野さんは、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)に出演。これは、恋に本気になれない6人の男女が人生最大の“本気の恋”に落ちていく様を描いたもの。小野さんは、ヒロインの純(広瀬アリス)が好きになる柊磨(松村北斗)の元カノ・竹内ひな子役で出演。 ――勝手に合鍵を使って柊磨の部屋に出入りし、誰か泊まったのか、ごみ箱の中の歯ブラシをチェックしたりして視聴者に「ひなゴン怖い」と言われていましたね。 「そうですね。たしかに陰湿な感じで怖かったですよね(笑)。でも、あの役もそういう側面もありながら、恋のライバルだった純に柊磨のモンスターママ(斉藤由貴)のことを教えてあげるお節介焼きな温かみがあったりして。やっぱり白か黒かの2色で判断しないような描かれ方が好きでした」 ――謎めいていてユニークでしたね。だから、本命はいると言いながら、柊磨と不思議な関係で。 「なかなか素直になれないいじらしさだったり、不安だからこそ強がってしまう裏腹さだったり。そういう人間らしい矛盾が魅力的な子でした」 ――繊細な心情表現がとても巧みですね。実はこうなんじゃないだろうかというニュアンスがとても自然で。 「ありがとうございます。すごくうれしいです」 2022年、小野さんは、映画『ハケンアニメ!』に出演。この映画は、地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ主人公・斎藤瞳(吉岡里帆)がアニメの頂点である「ハケン(覇権)アニメ」の称号を手にするために熾烈な戦いを繰り広げる様を描いたもの。小野さんは、天才アニメーター・並澤和奈役を演じた。 ――天才アニメーターですが、プライベートはイマイチで…という感じでしたね。 「はい。天才と言われると、すべてを超越している隙のない人を想像してしまうのですが、和奈は隙や人間らしさがたくさんあるチャーミングな女性でした。仕事は天才的だけどプライベートはあまり充実していなくて自信がなかったり、頼まれた仕事を断れない押しに弱いところがあったり」 ――いいキャラですよね。今度こそはプライベートを充実させようとしていたのに仕事を頼まれると断れない。 「そうなんです。いったん引き受けたら譲れない部分があって、ちゃんと努力もしていて、ポリシーも持っていて…というところが非常によく伝わって、すごく魅力的なキャラでした」 ――絵を描く練習もされたのですか? 「実際に使うのはプロの方が描いたものだったので、私は作業をしている姿がプロのように見えるように、結構練習しました。ペンの持ち方とか、手首の動かし方も普段とは全然違いました」 ――アニメ業界の舞台裏も興味深かったです。 「そうですよね。あんなにたくさんの人が関わっているんだと知って驚きました。色の種類の多さにもビックリでした。単純に青とか赤、黄色というのではなくて、コバルトブルーとかいろんな種類があるんだなあって」 ――小野さんは、『ハケンアニメ!』で第46回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞されました。 「自分にはそういう賞とか、華々しいものは縁がないものだと思っていたので、びっくりしました。移動の車の中で、マネジャーさんから『新人賞受賞おめでとう』ってメールが来たんですけど、心当たりがなさすぎて『宛先間違えてますよ』って送ったら、『間違えていませんよ』って(笑)。それぐらい根も葉もないことだと思っていたので本当に驚きでした。 新人賞をいただいたことであらためてたくさんの人に感謝をお伝えすることができたので、それが何よりうれしかったです」 ――『ハケンアニメ!』は、日本アカデミー賞の9部門で優秀賞を受賞されました。 「私自身、大好きな映画のひとつになりましたし、そんなたくさんの方に愛していただける作品の一部になることができて幸せです」 子役時代から演技力を絶賛されていたが、あらためて広く知られることになり、『罠の戦争』、映画『Gメン』(瑠東東一郎監督)など話題作に次々と出演。2023年には、『初恋、ざらり』(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演(風間俊介さんとW主演)を果たす。 次回は、『罠の戦争』、『初恋、ざらり』、現在放送中のドラマ『グレイトギフト』、2024年3月1日(金)に公開される映画『52ヘルツのクジラたち』の撮影エピソードなども紹介。(津島令子) ヘアメイク:森下奈央子 スタイリスト:髙橋美咲(Sadalsuud)