外国人転売ヤー対策編(1)狙われたキティ&ディズニー限定グッズ 一網打尽、政府の消費税免税制度見直し前に〝買い子〟殺到
【列島エイリアンズ】 このところ、外国人転売ヤーの跋扈(ばっこ)が改めて話題となっている。例えば、東京国立博物館で1日から始まったハローキティの誕生50周年を記念しての展覧会に、限定グッズの購入が目的とみられる外国人転売グループが殺到したと報じられた。 東京ディズニーシーでも2日に販売が開始された人気キャラクターの限定グッズが、主に中国系とみられる転売グループにターゲットとされた。中国のSNS上には「おひとり様1品限り」の限定グッズの購入に動員するための〝買い子〟を、無料の入園チケットの提供を〝見返り〟として提示しながら、募集する書き込みが相次いでいた。 さらに最近、活動を一層活発化させているのが、本連載でも取り上げた「消費税免税制度」を悪用する「免税転売ヤー」たちだ。 この制度では、国内非居住者が対象商品を購入する場合、消費税分の10%を差し引いた金額で購入することができる。だが、制度の対象とならない転売を目的とした免税購入などの不正利用が続出していることから、政府は制度の見直しを行う方針を打ち出した。販売時には消費税を課し、出国時に消費税を払い戻すリファンド方式の新制度に移行するという。 これまで全国約6万店舗の免税店で行われていた免税手続きを全国で30ほどしかない国際空港で、出国間際という限られた時間に済ませることができるかどうかなど課題はあるが、実現すれば現行制度を悪用した免税転売ヤーは一網打尽にすることができそうだ。 そうしたなか、免税転売グループは「最後の一儲け」とばかりに駆け込み的に免税購入による商材買い付けに力を入れている。都内の高級ブランド販売店や家電販売店、宝飾店には買い子を乗せた大型バンを横付けし、買い付けに勤しむ転売グループの姿も散見される。 彼ら、外国人転売ヤーについては、拙著「転売ヤー 闇の経済学」(新潮社)でも密着取材し、実態をつまびらかにしている。本連載では数回に渡り、彼らの転売行為に対して取りうる対策について考えてみたい。 =つづく 外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。
■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。新著「転売ヤー 闇の経済学」(新潮社)が18日発売予定。