ボクシングファン待望のチャンピオンカーニバル開催
今年も「チャンピオンカーニバル」の季節がやってきた。年に一度、全階級(ミニマム級~ミドル級までの13階級)の日本チャンピオンがこぞって指名挑戦者と防衛戦を行うのがイベントの趣旨。1977年にスタートして今回で43回目を迎える、日本ボクシング界年頭の恒例行事である。 当初は集中開催を売りにして文字通り華やかな「カーニバル」だったが、これは時代とともに変わり、現在は年明けから4月までの期間で各階級のタイトルマッチが行われている。それでも注目度の高いイベントであることには変わりがない。ここから世界にステップアップしたボクサーも多いし、チャンピオンと挑戦者が意地と誇りをかけて日本タイトルを争った結果数々の「世界戦よりすごい名勝負」も生まれている。 チャンピオンカーニバルにはいろいろなドラマがあった。
世界戦を超える闘いも生まれる
1989年1月22日の高橋ナオト-マーク堀越戦(日本スーパーバンタム級)は、いまも語り草の伝説的試合。倒し倒され、また倒しの壮絶なファイトで、2人あわせて5度のダウンがあり、最後は高橋が9ラウンドKOでマークを下した。高橋は“ミスター・カーニバル”ともいうべき名選手で、3年連続でカーニバルに出場し、自身がKO負けを喫した試合も含めていずれもチャンピオンカーニバルのMVP賞に絡んだ。しかもマーク戦と今里光男戦(87年2月1日)はカーニバルの枠を超えてその年の年間最高試合に選ばれたほどだった。 また、世界初挑戦でドローだった畑山隆則がコウジ有沢の日本スーパーフェザー級王座に挑んだ一戦(98年3月29日)は「史上最大の日本タイトル戦」と銘打たれ、会場も両国国技館という世界戦規模のイベントになった。結果は畑山が有沢に9ラウンドTKO勝ちを収め、世界再挑戦へ堂々駒を進めた。この試合も日本ボクシング界の年間を通じての最高試合に選出されている。 時代が下って2011年、山中慎介-岩佐亮佑の日本バンタム級戦。これも忘れられない劇的名勝負だ。勝った山中に続き、この試合で負けた岩佐ものちに世界チャンピオンの栄光をつかみ、両者の試合の価値が一層高まったものだ。