「短距離王者ルガル」と「菊花賞馬タイトルホルダー」 対照的な2頭のドゥラメンテ産駒に“共通点”あり
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返るスプリンターズS 【写真】ルガルのこれまでの軌跡 【Pick Up】ルガル:1着 父ドゥラメンテはわずか5年間の供用で早世したため、馬産地では後継種牡馬が求められています。牡馬の代表産駒タイトルホルダー(菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念)は、今年の春からレックススタッドで供用され、159頭に交配する人気種牡馬となっています。ルガルも、今回の勝利によりいずれは種牡馬となるでしょう。 タイトルホルダーとルガルは、スタミナ型とスピード型という対照的な競走馬ですが、血統的にはサドラーズウェルズとロレンザッチオを併せ持つ、という共通点があります。とくに前者が入るパターンは、勝馬率、2勝以上馬率、連対率、1走あたりの賞金額、という4つのファクターともドゥラメンテ産駒全体の平均を上回っており、ニックスといえるでしょう。 ルガルはミエスク4×4という牝馬クロスを持ちます。ミエスクは現役時代、英・仏1000ギニーやBCマイルを連覇するなどG1を10勝。1980年代の世界最強マイラーです。繁殖牝馬として名種牡馬キングマンボ(キングカメハメハなどの父)と、名牝イーストオブザムーン(仏牝馬二冠とジャックルマロワ賞を制覇)を産んでいます。前者がルガルの3代父、後者が3代母。魅力的な血統構成です。 骨折明けでこのパフォーマンスですから次走以降が楽しみです。 ◆血統で振り返るシリウスS 【Pick Up】ハギノアレグリアス:1着 タニノエポレット(ダイヤモンドS3着、天皇賞(春)5着)の半弟で、母タニノカリスはダービー馬タニノギムレットの半姉にあたる良血。キズナの重賞勝ち馬はスピード型の母を持つパターンが多いのですが、母は現役時代に1700~1800mで3勝(ダート2勝、芝1勝)を挙げたスタミナ型だったので、ハギノアレグリアスはスタミナ型に出ました。今回を含めて重賞を3勝していますが、距離は1900m、2000m、2000mです。 母父ジェネラス(英・愛ダービー、キングジョージVI世&クイーンエリザベスS)は90年代のイギリスを代表する名馬。晩成傾向を伝えるので7歳秋を迎えても能力に衰えが見えません。 キズナは今年、JRAの平地重賞11勝目。エピファネイアに2勝差をつけてトップに立ち、総合種牡馬ランキングでもロードカナロアを引き離して首位の座にあります。手駒が豊富なので秋の重賞戦線で差を広げていく可能性が高いと思われます。