土地が安くて幸福度が高いコスパ良好の地方都市 大都市圏の地価上昇が進む中での穴場はどこ?
注目すべきは若者就職者増加率の118%で、これは全国トップ10に入っている。本社機能の流入超過15社もトップ10入り。人口の転入超過率0.02%もプラス材料だ。 ニューヨーク・タイムズ紙が今年訪れたいと市として紹介した山口市は、平均価格が3万7000円。山口県内の住宅地は3年連続で上昇、商業地は31年ぶりの上昇となった。 日本三名塔の1つに数えられる瑠璃光寺の五重塔(国宝)をはじめ、西の京と呼ばれるにふさわしい数多くの寺社仏閣を配置した街のたたずまいは、歴史と趣があり日々の人々の暮らしに溶け込んでいる。京都のような混雑、オーバーツーリズムとは無縁の居心地のいい街並みである。
新幹線の駅は新山口駅で、かつては小郡駅だった。新幹線を利用すれば西日本最大の都市・福岡市(博多)まで35分ほどの近さ。フグ、ヒラメ、アマダイをはじめとする豊かな海産物に加え、県内には特産の瓦そば、岩国寿司(押し寿司)などおいしいグルメが目白押しだ。 ■2000万円台で新築一軒家が買える 1世帯当たりの教育関係費支出額約3万8000円は全国平均2万5000円を大きく上回る。かつての長州藩は、いまでも教育熱心なのだ。新築住宅物件を見ると、山口市内(大歳駅から徒歩7分)の3LDK(土地180平方メートル、建物96平方メートル)が2288万円となっている。2500万円台で4LDK(土地230平方メートル、建物107平方メートル)の物件もある。住宅のコスパは最高だ。
公示価格の発表となると、上昇物件にばかり関心が集まりがちだ。しかし、居住地としての魅力を備えていながら、適正な地価を維持している地方都市の実態に目を向けてみると、新たな発見がありそうだ。
山田 稔 :ジャーナリスト