【密着】大反対を押し切りジョージアに移住 パン店を営む家族へ届ける母の想い
ジョージアでパン店を営むパン職人の松本尚さん(45)・綾子さん(45)一家へ、神奈川県で暮らす尚さんの母・はるみさん(68)、綾子さんの母・律子さん(67)が届けたおもいとは―。
昨年一家でジョージアに移住し、7月にパン店をオープン
黒海とカスピ海に挟まれたジョージアは、ソ連の崩壊を機に1991年に独立した小さな国。ワインとパンが有名で、ワインの発祥とされる壺造りのジョージアワインは世界中の愛好家を魅了。ジョージアパンの代表「ハチャプリ」は、サクサクとした食感で、日本でも惣菜パンとして発売されるほど世界で注目されている。そんな街の中心地から少し外れた場所で、パン店「パンチョリーナ」を営んでいる松本さん夫婦。昨年12月に家族5人でジョージアに移住し、今年の7月に店をオープンさせた。実はジョージア語はまったくで、英語もあまり話せないという。
大人気だったパン店を突如たたんで移住を決めたその理由は…
尚さんと綾子さんは高校の同級生で、31歳の時に結婚。理想の田舎暮らしをするため神奈川県の藤野に移住し、3人の子宝に恵まれた。そして自ら小麦を栽培し、自家製の天然酵母で焼く手作りのパン店「パンチョリーナ」を開店。2人のこだわり抜いたパンは大人気となるが、突如店をたたんでジョージアへの移住を計画する。それを聞いた尚さんの母・はるみさんは「コロナやロシアの戦争もあったし、孫のことも心配で…」と大反対。綾子さんの母・律子さんも「私が死んでから行って」と強く引き止めたが、それらを押し切って昨年家族でジョージアへ渡り、一から店を手作りした。 ジョージアは夜型の街のため、店の営業時間は午後3時から9時まで。準備は朝7時から始める。実はジョージアのパンは種類が少なく、2人が作る様々な食材を使ったバリエーション豊富な日本のパンはなじみがない。そのため、まずは日本のパンをわかってもらうところからのスタートに。豆乳やおから、味噌といった食材も一から自分で作っている。この日出来上がった商品は、日本では定番のカレーパンやメロンパン、季節の果物を使ったパン、ドーナツなど約15種類。言葉が通じないため客に詳しく説明することはできないものの、2人が作る色とりどりのパンは若い人たちの興味をそそるようで、食べてもらえば評価は上々。じわじわとリピーターが増えている。