全国に開校相次ぐ「夜間中学」ってどんな学校? 対象、授業内容、通学手段は…来春、県内初の公立「いろは中学」が開校
来春、鹿児島初となる公立夜間中学の県立いろは中学校が、鹿児島市の開陽高校内に開校する。県教育委員会は7~8月にかけて、県内各地で入学説明会を開いている。公立夜間中とはどんな学校なのか。説明会で示された資料などを基(もと)に解説する。 「漢字書けずばかにされた」「貧乏で高校行けず…」 学び直し支える夜間中学、全国で開校相次ぐ背景とは?
-学校生活の流れは。 週5日、平日午後5時半ごろから40分授業が4校時まである。昼間の中学と同じ教科を、教員免許(めんきょ)を持つ教員から学べる。学び直しや進学ニーズを踏(ふ)まえ、国語、社会、数学、理科、英語の授業が多めにあり、全ての課程を修了(しゅうりょう)すると中学卒業の資格を得られる。下校は午後9時ごろ。1~3年生の各学年1学級、12人程度ずつ。前・後期の2学期制で夏休みなどもある。 -どんな生徒が対象か。 県内在住で、義務教育を受けられずに学齢(がくれい)期を過ぎた人や、形式上は卒業したが不登校などで十分に学べなかった人。外国籍(せき)の人も入学できる。対面授業が基本だが、日本語の読み書きができない人や小学校段階(だんかい)の学習が必要な人には、個別指導も行う。仕事の都合などで登校時刻(じこく)に間に合わない人でも相談に応じる。 -入学までの流れは。 10月から生徒募集(ぼしゅう)の受け付けを始め、11月から面接で入学を希望する理由や学習状況(じょうきょう)などについて聞き取る。入学試験はない。入学は原則4月だが、希望者の面接や体験入学は随時(ずいじ)、実施(じっし)される。生徒の学習歴や希望に応じて、2年生や3年生からの入学も可能。最長6年間学ぶことができる。
-費用は。 授業料や教科書は無償(むしょう)。学用品や学校行事などで必要な実費は自己負担(じこふたん)となる。車やバイク、自転車での通学も可能。学習用端末(たんまつ)が1人1台貸し出され、オンライン学習で活用できる。県教委は「一人一人の思いを大切にし、いきいきと学べる学校」を目指している。 -離島(りとう)など通学が困難(こんなん)な地域(ちいき)に住む人たちへの対応は。 県教委は、開校翌年(よくねん)の2026年度以降(いこう)にオンライン生を受け入れられるよう検討(けんとう)している。授業の生配信や録画動画の活用が想定される。 ※入学対象となる義務教育を十分に受けられなかった人たちのために、中学校以上で習う漢字にルビを付けました。 ◇校章デザインを募集中~8月30日必着 鹿児島県教育委員会は、鹿児島市に来春開校する県立夜間中学校「いろは中」の校章デザインを募集している。異なる年代や国籍、文化の生徒たちがつながり、夢の達成を目指していることなどを表現する校章を求めている。8月30日必着。
学校のシンボルにふさわしく、生徒が希望と誇りを持てることや、多くの県民に親しまれることなどもコンセプトに掲げる。誰でも応募可能。郵送か持参、メールで申し込む。採用者には5万円相当の県特産品を贈る。校歌は、鹿児島ゆかりの作詞家と作曲家が制作中だ。 問い合わせは、県教委夜間中学開校準備班=099(286)5575。
南日本新聞 | 鹿児島
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