東京都が始めた受験生支援という「子供の貧困」対策
「支援事業」の申し込み窓口は各市区町村
形式上、同事業は貸付という形になっていますが、高校・大学に入学した場合は返済が免除されることになっています。ちなみに、都が取り組んでいる事業ですが、申し込み窓口は各市区町村になっています。 「受験生チャレンジ支援貸付事業は、家庭の資力によって進学の機会が奪われることを防ぐ目的に始められました。年を経るごとに利用者が増えており、現在は約1万人の子供たちが同事業を利用しており、2007年度には11億8900万円の予算が組まれるまでになっています」(同) しかし、いくら高校や大学に合格しても、学費が払えずに中退してしまう子供もいます。都はその対策を講じていないのでしょうか? 「受験生チャレンジ支援貸付事業にも言えることですが、基本的に教育支援は国がやるべき政策であり、セーフティネットだと考えています。しかし、だからと言って都が何もしないわけにはいきません。東京都はほかにも、『生活福祉資金貸付事業』を行なっています。学費はその中の『福祉資金・教育支援資金』で賄うことができるようになっています」(同)
近年、親の経済力と子供の学力との相関関係が指摘されます。高所得の家庭で育った子供は有名大学に進学しやすく、有名大学に進学すれば大企業に就職しやすいといった例です。そうなると、貧困家庭で育った子供たちは、どんなに努力しても金銭的な面で大学に進学できず貧困から抜け出せなくなるともいえます。 厚生労働省の最新調査では、2012(平成24)年度における17歳以下の子供の貧困率は16.3%にまで上昇しています。負の連鎖を断ち切り、格差の固定を解消することは、行政の喫緊の課題です。それだけに、都が始めた受験生支援という貧困対策は大きな一歩といえるでしょう。 (小川裕夫=フリーランスライター)