会社員も確定申告が義務になる!? 河野大臣も主張する「年末調整廃止」政策を元・国税調査官が解説
SNSでは、「国民の確定申告より、まず裏金問題を解明しろ」といった批判が噴出するなどタイミングも最悪。にもかかわらず、なぜこのようなまわりくどい公約を掲げたのか。 マイナポータルを活用すれば「個々人の手間が増えることはない」と強調していることから、河野大臣肝入りであるマイナンバーカード普及のためだけの政策に思えて仕方がありません。マイナンバーカードの是非については言及しませんが、まだ不具合の多い制度であることはたしかです。その普及のために、繊細な仕事が求められる税務署に負担を強いるなんてことは、あってはならないと思います。 とはいえ、私はこの政策案には見どころもあると思っています。SNSでも、「確定申告の義務化は、金融リテラシー向上に有意義だ」といった賛成意見が多数見受けられます。 私自身、日本人の税知識のなさには憂慮しています。さすがに確定申告をしただけで金融リテラシーが身につくことはないと思いますが、少なくとも税に対する興味関心を持つきっかけの一つにはなり得ます。 ただ、実行に移すにはまだまだ準備が足りないでしょう。現状では、税務署に大きな負担がかかるので、やるにしても数年はかかるはずです。「マイナンバーカード普及を目的とした拙速な導入は避けるべき」。これが今のところの私の感想です。 構成/桜井カズキ 写真/photo-ac.com、河野太郎公式サイト