【独自取材/シンソウ】なぜ犯人は「橋名板」を盗む?板の製造で使用の銅に狙い?背景にEVの普及【岡山】
岡山放送
独自取材でニュースを深掘りするシンソウ。なぜ、橋名板や標示板が相次いで狙われるのでしょうか。そのシンソウを取材しました。 (中西源太記者) 「こちらは岡山市中区の新中島竹田橋です。ご覧のように、橋の名板がなくなっています」 8月16日、岡山市中区の百間川にかかる新中島竹田橋の橋名板が何者かによって盗まれていることが分かりました。その後、県や市が調査したところ、各地で橋名板と標示板の盗難被害が発覚しました。 9月3日現在、県内で盗まれた橋名板と標示板は合わせて218枚、総被害額は約1200万円に上ります。共通点はいずれも、銅を主な成分としたブロンズ製であること。なぜブロンズ製の橋名板と標示板が狙われるのか、岡山市の金属リサイクル業者に話を聞きました。 (平林金属マテリアルサイクル事業本部 加藤浩執行役員本部長) 「橋名板は銅の合金からできている。銅の合金は換金しやすい。銅の値段は去年(2023年)の同月比で10%~15%価格が上昇している」 銅の価格の推移を表したグラフです。過去5年でみると、銅の価格が高騰していることが分かります。 (平林金属マテリアルサイクル事業本部 加藤浩執行役員本部長) 「近年、電気自動車が急激に普及して、電気自動車に使われる銅が多くなったのが一番の要因」 狙われているのは橋名板と標示板だけではありません。 (平林金属マテリアルサイクル事業本部 加藤浩執行役員本部長) 「太陽光発電所の送電ケーブルも大量に盗まれて、発電所が発電できなくなった話もある」 銅製品の盗難が後を絶たない背景にあるのが、国の認可を受けていない悪質な買取業者の存在です。違法に入手した銅製品でも安易に換金されてしまう恐れがあります。 さらに、最近は身近な家電の盗難被害も増えていて、注意が必要だと言います。 (平林金属マテリアルサイクル事業本部 加藤浩執行役員本部長) 「エアコンの室外機も盗難されるケースが増えている。室外機は銅の含有量が高いので値段が高く換金できる。長期間外出したり、人通りの少ない場所のエアコンや室外機には注意が必要」 他にも表札や水道の蛇口など、銅を使った製品は身近に多くあり、全てが狙われています。決して他人事ではなく、一人ひとりが注意しなければなりません。
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