米国に営業実態ない株式会社、沖縄県議会委が事務所関連経費含む決算不認定「支出の正当性覆す事態」
沖縄県が米ワシントン事務所を運営するため、営業実態のない株式会社を米国に設立し、駐在職員を「社長」として就労ビザ(査証)を取得していた問題で、沖縄県議会の決算特別委員会は1日、この手続きを問題視し、同事務所関連経費を含む2023年度一般会計決算を不認定とした。本会議で不認定となっても決算の効力に影響はないが、今後の県の説明次第では事務所の廃止が議論される可能性があり、来年度予算の審議に影響しそうだ。 【写真】沖縄県の玉城知事
事務所は15年、県が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対などを米側に直接訴えるために開設。米政府関係者や連邦議会議員らとの面談を調整する拠点となっている。
決算委では、手続きを明らかにしていなかった県に対し、6月の県議選で多数派に転じた自民党会派などから「隠蔽ではないか」「丁寧な説明が必要」との声が相次いだ。玉城デニー知事は「資料を取り寄せ、弁護士らに確認するよう指示している」と答弁し、調査して手続きが適正かどうか報告する考えを示した。
採決では、事務所廃止を主張する同会派が「支出の正当性を根底から覆す事態」と訴え、賛成少数で不認定とした。月内に開かれる見込みの本会議で不認定となる公算が大きく、来年度の予算編成に向けても少数与党の玉城県政は難しい対応を迫られるとみられる。