「代替」の北陸、大混雑 東海道新幹線運休、「大阪まで早くつなげて」
●指定席通路まで客、移動諦め金沢宿泊の人も 東海道新幹線の一部区間が保守車両の脱線事故で終日運休となった22日、北陸新幹線が、関西と関東をつなぐ「代替ルート」として多くの乗客で混雑した。全席指定席の「かがやき」は満席が相次ぎ、「はくたか」では自由席に座れなかった乗客が指定席通路にまであふれる事態に。利用客からは「早く関東と関西を北陸新幹線でつなげてほしい」との声も聞かれた。 【写真】混雑する敦賀行きの北陸新幹線「はくたか」自由席=富山県内(乗客提供) 金沢駅では金沢止まりの北陸新幹線から、東京行きに乗り換えるため、いったん下車する客の姿も見られた。仕事で東京に行く途中、金沢駅で降りた国沢龍太さん(51)=大阪市=は「乗り換えまで時間があり、30分ほど金沢駅を見て回ることにした。東海道新幹線なら、とっくに東京に着いているはずなのに」とため息をついた。 「平日ですいていると思ったが、誤算だった」と疲れた様子で話したのは、法事で金沢に訪れた小倉転子さん(68)=東京=。はくたかの指定席が取れず、立ちっぱなしだったという。 JR西日本金沢支社によると、かがやきは午前11時ごろの出発便から上下線ともに次々と満席になり、はくたかも多くの便で指定席が埋まった。 前日に甲子園で野球観戦した畔見敏彦さん(72)は自宅の群馬県高崎市まで東海道新幹線経由で帰る予定だったが、ルート変更を余儀なくされた。大阪から特急「サンダーバード」で敦賀まで行った後、北陸新幹線に乗り換えた。金沢駅でいったん下車した畔見さんは「乗り換えが面倒だ。どんなルートでもいいので、早く大阪と関東が北陸新幹線で行けるようになってほしい」と求めた。 あまりの混み合いに22日の移動を諦めた人もいた。大阪に行くため、出張先の高岡から北陸新幹線を利用した会社員本田岳一(たかひと)さん(52)=神奈川県相模原市=は、敦賀からのサンダーバードの座席が取れず、急きょ金沢で1泊することにした。本田さんは「東海道の事故は知っていたが、まさか北陸新幹線やサンダーバードにも影響が出るなんて」と驚いた様子で話した。 ●臨時列車4本運行 JR西日本は22日、利用客の急増を受け、はくたか2本と、サンダーバード2本の臨時列車計4本を急きょ運行した。このほか、北陸新幹線「かがやき」やサンダーバードの一部列車では、満席になった際に発売する「立席(たちせき)特急券」を提供した。