映画はどのように障害を描いてきたのかを考える書籍刊行、三宅唱も推薦
映画の中で障害がどのように扱われてきたのかを考察した書籍「スクリーンのなかの障害」が、本日11月26日にフィルムアート社から刊行された。 【画像】「スクリーンのなかの障害」中面(他7件) ろう者の子供を人公にした「コーダ あいのうた」が第94回アカデミー賞で作品賞を含む3部門に輝いたほか、日本の気鋭の監督たちが「ドライブ・マイ・カー」「ケイコ 目を澄ませて」「LOVE LIFE」といった障害者が登場する作品を手がけている現在。本書では「レインマン」「フォレスト・ガンプ/一期一会」「アイ・アム・サム」「ワンダー 君は太陽」「最強のふたり」「コーダ あいのうた」などを取り上げ、歴史、物語のパターン、当事者性などさまざまな角度から映画と障害のつながりを読み解いていく。著者は成城大学文芸学部の准教授で、「障害者と笑い:障害をめぐるコミュニケーションを拓く」なども執筆した塙幸枝(ばん・ゆきえ)。また本書にも登場する「ケイコ 目を澄ませて」の監督・三宅唱と、キュレーター・プロデューサーの田中みゆきが推薦コメントを寄せている。 ■ 「スクリーンのなかの障害」目次 ・はじめに──障害と映画をつなぐ ・第1章 社会における障害観の変化──「共生」の背後にあるもの ・第2章 映画における障害者イメージの変遷──「モンスター化された障害者」から「非力化/有能力化された障害者」へ ・第3章 コミュニケーションの問題として描かれる障害──「不全」と「達成」のストーリーは何を意味するのか ・第4章 視覚的・聴覚的に再現される障害──「聞こえないこと」はいかに表象されうるのか ・第5章 身体的に演じられる障害──障害のリアリティはいかに評価されうるのか ・おわりに──「描き方」を経て「受けとられ方」へ □ 本書で扱われる作品 「フリークス」「ノートルダムのせむし男」「エレファント・マン」「秋のソナタ」「ポーリーヌ」「靴ひも」「レインマン」「フォレスト・ガンプ/一期一会」「カッコーの巣の上で」「ドリーム・チーム」「ワンダー 君は太陽」「最強のふたり」「アイ・アム・サム」「リンガー! 替え玉★選手権」「岬の兄妹」「コーダ あいのうた」「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」「ケイコ 目を澄ませて」「パーセント」ほか ■ 三宅唱(映画監督)コメント 「映画について」ではなく「映画とともに」、 私たちのいまを考え続けるために、この本はある。 ■ 田中みゆき(キュレーター / プロデューサー)コメント 普通に存在することすらままならない。本書が照らし出すように、 障害の表象の歪さは、社会とそのままつながっている。